金の1月の輸入量が大幅に増加、財務省が27日に発表した貿易統計(品目別速報値)によれば8.17トンと前年同月の3倍に膨らんだ。昨年12月に比べても2.1倍という急増ぶりで、ペイオフ(定期預金などの払戻保証額を元本1000万円とその利息までとする措置)解禁などを背景にした投資人気の高まりを裏付けた。
輸入量は実需を測るバロメーターとされる。輸入量はバブル景気で宝飾需要が盛り上がった1990年の302トンをピークに減少傾向が続き、昨年も宝飾向けや半導体の接点を結ぶ微細線のボンディングワイヤなど電子材料向けの需要不振から年間輸入量は43.2トンと80年以来の低水準。ただ投資用は昨年9月の米同時テロ後から活発化しており、昨年末以降は株安やペイオフ解禁といった経済不安も加わって「有事の金買い」が本格化している。2月の輸入量は「1月よりもさらに増えており、増勢がしばらく続く」(田中貴金属工業)との見方が多い。