政府が27日決定したデフレ対応策は、不良債権処理の促進や株式市場対策、金融緩和要請などが中心になった。ポイントをまとめた。
◎不良債権処理
公的資金投入は「金融危機の恐れがあり必要と判断される場合は、資本増強を含むあらゆる措置を講じる」と、踏み込んだ表現を回避し、首相見解を踏襲した。個別行が風評などで市場に攻撃されるような事態以外は、特別検査結果まで投入の判断を先送りする。
特別検査は「3月まで厳正に実施し、終了後に早急に結果を公表する」。流通・建設・不動産の問題企業の処理は大詰めで、金融庁は「02年3月期に銀行が資本不足に陥ることはない」との見方だが、検査結果への市場の評価も踏まえて投入の判断を迫られそうだ。
整理回収機構(RCC)による不良債権買い取りは「時価買い取りの実効ある運用」を目指す。RCCの買い取り推進本部設置や、損失に備えた過去の回収益活用を打ち出したが、買い取りが急速に進むかは不透明だ。
◎市場対策
株の空売り規制の強化や株式取得機構の積極活用は、銀行などの決算に大きな影響を及ぼす3月末の株価を下支えする狙いだ。政府は4月のペイオフ凍結解除を控え、金融システムの波乱要因を排除したい考えだ。
空売り規制は昨年末から相次いで発表されてきた対策を列挙した。取得機構は買い取り原資として4兆円の公的資金枠を用意した。空売り規制には「市場の取引の厚みを失わせる」との批判があり、取得機構も利用が疑問視されているが、「市場に当局の強い意思を伝える」(政府筋)ことが重視された。
◎金融政策
デフレ対応策は冒頭で、日銀に「思い切った金融政策」を求めた。「デフレは通貨現象であり、本来は金融政策で対応するべきだ」(財務省幹部)との認識が政府内で強いためだ。財政出動への制約から有効な需要喚起策を打ち出せない中、金融政策に頼らざるを得ない面もある。日銀は「金融政策は構造改革の側面支援」(速水優日銀総裁)との立場で、デフレ対策としての金融政策の有効性を巡る政府・日銀の溝は深い。
◎中小企業対策
資金繰りに悩む中小企業が、融資を受けやすくする施策を盛り込んだ。しかし、すでにある制度の「活用」「拡充」にとどまった。
柱は、売り掛け債権を担保に民間金融機関から融資を受けられるよう、都道府県の信用保証協会が保証する制度の改善。昨年12月からの受け付けに際し、2兆円の保証枠を用意したが、12件計3億円の利用しかなく、手直しは避けられない情勢だった。また、昨年度終了の特別保証制度で融資を受けた企業について、返済条件の緩和に応じることになったが、金融機関が緩和してもらった企業を「要注意先」に分類しかねないという問題点もある。
[毎日新聞2月27日] ( 2002-02-27-21:05 )