「結局のところ、官邸としては日銀に対してすべての“シワ寄せ”を押しつけようと、ということなのだろう−」
自民党の有力国会議員がこう言ってみせる。
2月27日、政府は“総合デフレ対策”を最終的に正式な形でとりまとめ、これを公表する。
昨日明らかになった政府最終案では、以下に示す5項目が柱になっている、と言っていいだろう。
(1)不良債権処理の促進
(2)公的資金による資本注入も視野に入れた金融危機対策
(3)日銀によるさらなる金融緩和
(4)株式市場対策
(5)貸し渋り対策
「この“5項目”の中で、具体性、実効性を伴っていると思われるのは、“日銀によるさらなる金融緩和”ぐらいのものだろう。しかしその項目ですら、これまで政府が日銀に対して再三再四要求してきたものだ。従って、“総合デフレ対策”と言ってみたところで、その内容は、これまで小泉政権が進めてきた政策をそのまま踏襲したものにすぎない。つまり目新しいものは何一つない、というのが実際のところだ」(前述の自民党有力国会議員)
とは言うものの、注目すべきポイントが全くないわけではない。注目は、“株式市場対策”だ。
この項目の中に、“空売り規制等の強化”という施策が盛り込まれていることに注目すべきだろう。
それというのも、この施策を“ウラ読み”すれば、政府−特に金融庁が、“外資”との全面対決に踏み切ることを決意した、その宣言をしたということに他ならないからだ。
金融庁幹部が言う。
「昨年から続いている一連の金融庁バッシング−特に森金融庁長官に対する個人攻撃が、特定の“外資”が組織的に、そして意識的に仕掛けていたことがほぼ判明したのです。もっとも“外資”と言っても、その実態は“黒い目の外国人”というのが実際のところなのですが…」
取材で確認したところでも、一部週刊誌が報じた森長官の“愛人スキャンダル”を仕掛けた−具体的には意識的な情報発信を行ったのは、“黒い目の外国人”だった、ということが判明している。
「まさに、“彼ら”の手法は、米大統領選などで良くみられるネガティブキャンペーンそのもの。野党にしてもマスコミにしても、“彼ら”の狙いとするところをよくよく確認しないで、単純にネガティブキャンペーンに乗っているだけ」(金融庁幹部)
金融庁が指摘する“彼ら”については、独自取材によってその人物を特定することに成功したが、とりあえず現段階ではその具体名を挙げることは適当ではないと思われるので、とりあえず避けさせていただく。
26日金融庁は、空売りに絡む法令違反があったとして、クレディ・リヨネ、ベアー・スターンズ(ジャパン)、ドイツ、日興ソロモン・スミス・バーニーの外資系4証券会社に対して、行政処分を行うことを明らかにした。
こうした一連の“措置”は、金融庁vs“外資”という構図でボッ発している全面抗争の一端と見ることができよう。
今後、この抗争劇はどのような展開を見せるのか、その行方に注目したい。
2002/2/27