速水日銀総裁は、政府のデフレ対応策(案)に、思い切った金融政策の要請があることについて、明日の日銀金融政策決定会合でゆっくり議論したいとし、今は何も言えない、と述べた。
衆院財務金融委員会で古川元久委員(民主党)の質問に答えたもの。
塩川財務相が、国債買い切り額を現行の月8000億円から1兆円程度に増加してほしいと要請しているが、この政府の要請を受け入れるか、との質問に対して、総裁は、「明日、決定会合が開かれる。そこで、これからの政策について議論したい。今、何も言えない」と述べた。
また、国債買い切りを増額すればデフレを阻止できるか、との質問に対し、「資金は潤沢に供給されている。それだけの効果があるか分からないが、長期国債買い入れには、資金供給を円滑に行うために必要かどうかということと、市場がどう受け止めるか、という2つのことを考えることが必要だ」と述べた。
物価安定目標について、速水総裁は、「現在金利はほぼゼロだし、資金も極めて潤沢に供給されている。1月のマネタリーベースは前年比23%増だった。2月はもっと多いと思う。資金は、潤沢に供給されているにもかかわらず、物価は上昇していない。金融政策だけで、金をいくら出しても物価が上がっていくものではない」と述べ、「インフレターゲットの採用は、可能でもないし適当ではないと考えている」と述べた。
さらに、総裁は、昨年3月に、CPIが安定的にゼロ%を上回るまで思い切った金融緩和の枠組みを続けるとしたことを挙げ、「物価安定の確保に向けた確固たる、断固たる決意はすでに表明している」と述べた。
総裁は、「小泉首相は構造改革なくして成長なしといっているが、その通りだ。物価について言えば、成長なくして需要の増加も、物価の上昇も、デフレの解消もない」と述べた。