あさひ銀行が3月1日、大和銀行グループの持ち株会社、大和銀ホールディングスに合流、経営統合する。国内営業に絞った「スーパー・リージョナル・バンク(地域金融機関の連合体)」を目指すが、首都圏戦略は固まっておらず、株価の低迷も続く中、統合の効果を発揮して、市場や預金者の信認を得ることができるか、注目される。
大和銀、近畿大阪銀行、奈良銀行にあさひ銀が加わる大和銀ホールディングスは、平成15年以降、全国営業を基盤とする広域銀行と、地域銀行数行に再編し、地元に根差した銀行としてメガバンクとは一線を画した独自のビジネスモデルを模索する。
近畿圏では、大阪と奈良を地盤に再編される方向で固まっているが、東日本の要となるあさひ銀は、店舗32店を統廃合し、14年3月までに285店舗とすることを明らかにしているが、埼玉県や東京都が大半を占める店舗を、どのような形で再編するかはまだ固まっていない。
三和、東海銀行(現UFJグループ)との経営統合が白紙撤回となったあさひは、昨年9月以降、「政府が保有する優先株への配当が不可能となり、複数の金融機関と提携交渉を進めている」とのうわさが市場を駆けめぐり株価が急落。こうした事態を受けて大和銀への経営統合申し入れを発表した経緯がある。
あさひ銀は、昨年11月に「変革の180日」と題する経営改革方針を打ち出し、海外からの完全撤退や役員の削減、賞与削減、株式含み損の一括処理を進めている。
各行が頭を悩ませている不良債権問題についても、外資のゴールドマン・サックス証券と提携するなどして、4000億円を処理する方針だ。
それでも市場の評価は厳しく、昨年12月、あさひ銀がメーンの青木建設の倒産も、市場は前向きにはとらえず、あさひ銀の株価は一時、額面の50円まで急落した。
大和銀の信託部門を分社化することで、株式売却益が見込めるため、公的資金注入に伴って国に差し出した優先株への無配という事態は避けられそう。しかし、それでもあさひ銀の上場廃止前の今月22日の株価は70円、大和銀ホールディングスの株価も70円台で推移している。
4月のペイオフ解禁を控えて預金流出懸念や政府・与党からの公的資金再注入の声が高まるなど、銀行を取り巻く環境は厳しさを増すばかり。あさひ・大和連合は、一刻も早く統合後の姿を示すことにより、市場や預金者の信頼を勝ち取ることが最大の課題となる。