政府が検討しているデフレ対応策の骨格案が26日、明らかになった。金融危機に対しては、「資本増強を含むあらゆる措置を講じ、金融システムの安定を確保する」として公的資金注入も含めた対応を取ることを明記。不良債権問題に関しては、金融庁による特別検査の実施や整理回収機構(RCC)の積極的な活用を通じて「早期終結にめどをつける」としている。デフレ克服のため、日銀にも「思い切った金融政策」を求めている。
ただ、新たな財政出動や税制改革の具体策は盛り込んでいない。与党と調整したうえで27日の経済財政諮問会議で正式に決定する。
金融システムの安定化については、今年4月に予定されているペイオフ解禁後、金融機関の破たんによる金融危機が起こらないように「それまでに的確な検査・監督を通じ、金融機関の健全性を確保する」としている。
金融機関が資金繰り困難に陥った場合は、「信用秩序維持のため、必要な措置を講じる」として日銀に必要な資金を供給するよう要請するとしている。
一方、不良債権処理については、金融庁による特別検査を3月まで実施し、結果を公表する。主要な金融機関に対しては、検査結果を反映した財務内容を4月以降すみやかに公表するよう求めることで不良債権処理を促している。
RCCでは「債権買取推進本部(仮称)」を新たに設け、不良債権の買い取りを進める。金融再生法の改正で買い取り価格が「時価とされたことを踏まえ、適切な価格設定を行う」とし、与党の一部から出ていた「実質簿価」案を否定した。RCCが債権を回収する際に2次損失が出た場合は、これまでの回収益を「時価買取対応資金」として損失の穴埋めに活用する。買い取りを円滑に進めるため、金融界との意見交換会も設置する。
低迷する株式市場対策としては、空売り規制の強化や銀行等保有株式取得機構の活用を盛り込んでいる。中小企業への貸し渋り対策としては、売掛債権担保融資保証制度の積極的な活用を目指すほか、特別保証制度の返済条件の緩和などを挙げている。
与党が求めている税制改正については「経済財政諮問会議や政府税制調査会などで総合的な検討を進めており、6月ごろをめどに基本的な方針を示す」とするにとどめている。
デフレ対策については「日本銀行においても思い切った金融政策を行うよう要請する」としたが、具体的な要求は盛り込まなかった。財政措置についても、新たな財政出動には触れていない。(