上場企業の半数が終身雇用を維持できないと考えていることが日本経済新聞社の調査で分かった。右肩上がりの賃金体系を支えたベースアップも今春闘では回答企業の3社に1社が実施しない方針。業績悪化とデフレを背景に労組は賃金より雇用優先に転換したが、緊急避難策に浮上したワークシェアリング導入を検討する企業は5%にとどまる。人件費の軽減と余剰人員解消を急ぐ経営側との隔たりは大きい。
終身雇用は「人材の長期育成のため将来も堅持する」と答えた企業が19.5%にとどまり、53.9%が見直しを検討している。理由は「人件費負担が高まり現実には困難」「流動化を促す雇用戦略を再構築する」など現状追認派と積極派に分かれるが、年功的な日本型雇用慣行は急速に崩れてきた。
硬直的な賃金体系を見直す動きも進んできた。今春闘で労組がベア要求を見送ったか、経営側がベアゼロ回答でのぞむ企業は合わせて32.8%にのぼる。年齢や勤続年数に応じて毎年自動的に賃金が上がる定期昇給を見直す企業も4.8%あり、労使間の厳しい攻防が予想される。