森昭治金融庁長官は25日の会見で、不良債権処理の結果、銀行が資本不足に陥るのを防ぐため、予防的に公的資金を投入すべきだとの意見について、「(99年に公的資金を投入した)金融機能早期健全化法では可能だったが、同法は失効した。現在の投入の根拠となる預金保険法は予防的投入を予定しておらず、なかなか難しい」と指摘した。日銀は「追加的な金融緩和より公的資金投入が先決」と主張しているが、森長官の発言は日銀をけん制したものとみられる。
また、整理回収機構(RCC)による不良債権買い取りの促進について、森長官は「現行の時価買い取りを可能にした法改正の趣旨は、買い取った債権ごとに損失を出さないという従来のやり方でなく、債権全体を通算して損失を出さないことだ」と述べた。RCCが時価評価する際に、損失が極端に発生することを恐れず、できるだけ価格を高く設定するなど、弾力的な対応を求める考えを示したものとみられる。RCCの不良債権買い取り促進策は、「実質簿価」が見送られ、政府・与党内では時価の柔軟な算出方法が検討されている。 【木村旬】
[毎日新聞2月25日] ( 2002-02-25-18:47 )