小泉首相が、経済閣僚にデフレからの脱却の総合的な対策をまとめるように正式に指示を出した。「具体的で実効性のあるデフレ対策を強力に実施する必要がある」と表明しており、期待したいところではあるが、さすがに命の次に大事なお金を市場に入れるのは内容を見極めて吟味してからという慎重な投資家が多いだろう。
そんな中、米格付け機関のムーディーズが昨日、日本政府の発行する円建て国内債券の格付けを「Aa3」から引き下げる方向で見直すと発表した。ムーディースの担当者によれば、政府が有効な政策を打たず時間を浪費するほど日本経済の実態は悪化し解決は困難になるという。また、大手銀行の破綻はなく政府が公的資金を活用して危機を未然に防ぐとみているようだ。
日経平均では、10000円から11000円のボックス相場を暫くやっていただけにそのボックス下限の10000円から10200円のゾーンは相当の売り圧力があると考えておきたい。仮に、買戻し主体でこのゾーンを一気に抜けたとしても期待感とショート・カバーで上げている間は、そう慌てて買う必要はないだろう。むしろ、売り圧力に押されるものの下値は政策期待で支えられる一進一退の動きが政策の具体像がはっきりするまでは続くと考える。
少子高齢化で国自体の将来の活性が見込み難い状況で、国が多額の借金で苦しみ、国民が資産デフレと雇用不安に怯える環境に変化が出てくるのか。基本的には、国民は現状の金融資産を知恵を絞って「運用」しその果実で生活設計していくことになるだろう。モノ作りは高付加価値の部分を残し労働集約的な低付加価値部分は多子若齢の周辺アジアで分業するという形が鮮明となるのであろう。
このため、政府は国民の資産価値を高める施策を講じる必要があり、それは株高、地価上昇を意図したものが必要となる。政府が公的な資金を使って買い支えるとか空売り規制を強化して需給面の介入をする邪道の政策は評価されまい。税制面で内外の投資家が株を買いたい、土地を買いたいと思わせるように側面支援をするとともに肥大化し民間を圧迫し続けている公的部門を縮小し民の活躍の場をどれだけ増やせるかも重要だ。そして、頑張れば頑張っただけ所得が獲得できる「機会の平等」の実現が税制面で実現されるかが注目される。
そのような内容を伴った施策が講じられるのなら、足元景気がいかに悪く、業績面でも割高とは言え、積極的に株は買えるだろう。いずれにせよ、この国は崖っ縁に追い込まれている。危機一髪で生還できるか、それとも、転落死するのか。早晩、国のリーダーの決断次第でその結果は出てくるだろう。