【ワシントン22日=永田和男】
米議会の調査機関である会計検査院は22日、米エネルギー大手エンロンをめぐる疑惑に関連する記録提出を求め、チェイニー副大統領を相手取ってワシントン連邦地裁に提訴した。会計検査院が行政府を訴えるのは1921年の同院創設以来初めて。
問題の記録は、ブッシュ政権がチェイニー副大統領を座長に新エネルギー政策を策定する過程で行った民間企業からの意見聴取に関するもの。とくに、昨年末に破たんしたエンロン社代表との面会記録が焦点になっている。
会計検査院は面会記録の提出を求めてきたが、副大統領は「会談内容を第三者に明かせば、今後、民間の率直な意見を聞くことが困難になる」として提出を拒んでいる。
検査院は22日の声明で、「我々は躊躇(ちゅうちょ)したが、議会と米国民への責任を果たすため提訴の手続きをとった」と述べ、副大統領が再三の提出要請を拒んだことに遺憾の意を示した。
一方、ホワイトハウス側は法廷で全面対決する構え。今後の裁判では、記録提出の是非だけでなく、多額の献金などを通じたブッシュ政権の要人とエンロン社の関係が明るみに出る可能性もあり、注目される。
ホワイトハウスはこれまで、副大統領とエンロンのケネス・レイ前会長が昨年4月に会談したほか、副大統領補佐官らとエンロン社側が計6回面会していることは明らかにしているが、検査院はさらに各会談の名目と会談に要した費用を公表するよう求めている。
(2月23日11:20)