政府が検討している総合デフレ対策の概要が22日、明らかになった。焦点となっている不良債権処理の促進策として、整理回収機構(RCC)が不良債権を買い取る時の価格の査定方法を緩和し、より高い価格で買い取るよう運用改善を図る。また、金融システムの安定化を図るため、必要な場合は資本不足に陥った金融機関に公的資金を注入することを明記するほか、資金繰りが悪化した中小企業対策として、3000万円を上限とする無担保融資制度の創設を打ち出している。
総合デフレ対策は、一層の金融緩和の必要性や株式市場の活性化策を盛り込み、27日の経済財政諮問会議で正式決定する。
RCCによる不良債権の買い取りを巡っては、自民党の山崎幹事長らが「実質簿価(債権額から引当金を差し引いた価格)」で買い取る構想を打ち出したが、債権回収の際に新たな損失が発生する恐れがあることから、小泉首相が難色を示していた。このため、RCCが買い取り価格を算定する前提となる債権の回収リスクや地価下落の見通しなどの評価を緩めるなど運用面の改善を進めて買い取り価格をより「実質簿価」に近付け、不良債権処理を促す。
金融機関に対する資本注入については、政府は「現段階ではそういう状況にない」(福田官房長官)との認識で一致している。ただ、「資本注入に前向きな姿勢をアピールすることが、市場の評価につながる」(内閣府幹部)との考えから、対策で注入の可能性をより前向きに打ち出す方向だ。
中小企業対策は、商工組合中央金庫などが長期資金を融資する担保付きの「セーフティーネット貸付制度」に、新たに無担保の融資枠を設け、最大3000万円まで融資を利用できるようにする。また、売り掛け債権を担保とした融資の利用促進や、特別保証制度で借り入れた資金の返済期間延長などを打ち出す。
金融政策については、28日に日銀が開く金融政策決定会合をにらんで、これまでより強い表現で一層の金融緩和を求める見通しだ。ただ、長期国債の買い切りオペレーション(公開市場操作)増額や外債購入など、具体的な金融調節の手段には言及しない。
株式市場の活性化策は、金融機関が放出する持ち合い株の受け皿となる「銀行等保有株式取得機構」が2002年半ばまでに、政府保証枠いっぱいの4兆円分の株式を買い取ることや、投機筋などの「空売り」に対する規制強化などを盛り込む。