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複数の政府筋によると、２７日の経済財政諮問会議で取りまとめるデフレ対応策は、小泉首相から指示のあった５項目のうち、金融政策を除く４項目で当面の対応策が打ち出される。大方は、これまでに順次打ち出されており、目玉となる不良債権処理促進についても、特別検査の厳格化とそれに基づく資産査定に尽きるという。また、焦点となっている公的資金再注入は、現時点で必要なく、厳格な特別検査と資産査定、引き当ての結果、資本不足に陥る金融機関が発生し、金融不安が生じるおそれがある時に行うということで政府部内で意見統一がなされており、２７日のデフレ対応策では踏み込んだ対応はないという。
小泉首相は、２月１３日、早急に取り組むべきデフレ対応策として、１）不良債権処理の促進、２）金融システムの安定、３）資本市場対策、４）中小企業への貸し渋り対策、５）金融政策−−の５項目について検討するように指示した。これを受けて、各省が持ち寄った施策を２７日の経済財政諮問会議で整理することになっているが、「従来の経済対策のイメージとは違う」（小林内閣府審議官）という。
２８日の金融政策決定会合で決定される金融政策を除く４項目のうち、不良債権処理の促進については、１４日に小泉首相と柳沢金融担当相が会談した際、「（特別検査は）自己資本や体力を気にしないで金融機関の経営に大きな影響を持つ貸出先についてしっかり検査して処理するようにしてほしい。検査結果は何らかの形で公表した方がいいと指示があった」（柳沢担当相）という点に尽きるという。
また、整理回収機構（ＲＣＣ）の積極活用については、一時、与党内から実質簿価での買い取り案が出たが、小泉首相が、「時価が基本。法律がそうなっているから。１つの案として簿価の買い取りがあるが、時価が基本だ」と述べたことで、「選択肢からは消えた」（政府筋）。ただ、政府部内には、買い取り実績が思うようにあがっていないことにいら立ちもあり、塩川財務相が「実質簿価は意味が分かり難い。ただ、買い取り価格をいかに設定するかは、まだ、十分に勉強する余地がある。単純な簿価では、無理だ。時価をどのように計算していくのか、計算の基礎が明確になれば、それなりの対応がある」と述べるなど、時価を基本とした買い取りで、何らかの対応策が検討される可能性はあるという。
焦点となっている公的資金再注入については、１８日の衆院予算委での国会答弁以降、「現時点で必要性はなく、厳格な特別検査と資産査定の結果、資本不足に陥り、金融不安が生じるときには、資本注入も含め対応を取る」ということで、経済閣僚の足並みが揃っている。小林内閣府審議官は、２２日の会見の中で、「２７日の経済財政諮問会議で公的資金の再注入が議論されるかどうかは分からない」としながらも、「閣内では意見が一致していると理解している」と述べ、デフレ対応策では、この基本的な考え方が崩れることがないことを示唆した。
このほか、資本市場対策では、空売り規制や銀行等保有株式取得機構の活用などが既に打ち出された。また、貸し渋り対策では、所管の平沼経済産業相が２２日に小泉首相に報告した、１）売掛債権担保融資への保証制度の積極的な活用、２）セーフティーネットの貸し付け保証の着実な実行とその拡充、３）特別保証制度の返済に困っている中小企業の返済条件の変更が柱になる。
ただ、政府部内では、政府系金融機関を活用することも検討課題として挙がっている。小泉首相は政府系金融機関など特殊法人改革に着手しており、改革との整合性が取れないとの批判が出かねないが、、「当面の対応としてならば、その必要性も理解されるのではないか」（別の政府筋）との声が出ている。
「デフレ対応策は、長い闘い」（小林審議官）というように、政府は、６月の税制に関する考え方を含め、長いスタンスで取り組む方針。２７日には、当面の対応策を出すことになるが、「市場が失望し、株が大きく下落したならば、資本注入などをちゅうちょなく判断すればよいことだ」（別の政府筋）としている。
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