法制審議会(法相の諮問機関)は22日、破たん企業を再建させる倒産手続きの会社更生法について、1952年の制定以来、初めて全面改正する試案をまとめた。要件を緩和して手続きを迅速化し、「経営陣は総退陣」との原則も見直し、管財人として再建にあたれる道を開く。景気低迷と小泉内閣の構造改革路線で倒産が相次ぐ中、企業側の負担を軽くし、再建を進めやすくする狙いだ。
法務省は、広く意見を聴いたうえで法案にまとめ、今秋にも国会に提出、来春施行を目指す。
更生法は、破たん企業や大口債権者が裁判所に手続き開始を申し立てる仕組み。現在は裁判所が「更生(再建)の見込みがある」と判断した場合に「開始」を決め、管財人を選ぶ。管財人は、更生計画を策定、債権者らの同意を得て裁判所の認可を受け、計画を進める。
裁判所が開始を決めるまでに3カ月〜半年、更生計画決定までにさらに1年半前後かかるため、経済界からは「時間がかかりすぎ、その間に企業価値が下がって再建が難しくなる」と批判していた。このため試案は、裁判所が「更生の見込みがある」と判断する要件をなくすほか、計画決定に必要な関係者の同意の要件も緩め、計画に入るまでの期間半減を目指す。更生計画策定前の営業譲渡も認め、企業価値の劣化防止を図る。
また、経営陣が残れる民事再生法と違い、原則総退陣のため、再生法に流れがちな傾向がある。そこで、経営責任のない経営者を管財人に選べることを明文で認め、利用しやすくする。
また、更生計画の最長期間を現在の20年から15年に短縮、債務返済などの計画が一定期間順調に進んだ場合は、手続きを終わらせる規定も盛り込み、再建企業が早く独り立ちできるよう促す。
【大高和雄】
[毎日新聞2月22日] ( 2002-02-22-20:07 )