米証券最大手メリルリンチは 21日、米銀2位J.P.モルガン・チェースで10年間にわたり化学業界アナリストの責任者を務めたドナルド・カーソン氏の採用を発表した。J.P.モルガンの有力アナリストが退職するのは、今月に入って3人目。
J.P.モルガンでは今月、チーフ投資ストラテジストだったダグラス・クリゴット氏がスウェーデンの資金運用会社に移籍したほか、米国テクノロジー・ストラテジストだったグレッグ・ガイリング氏も退職。3人はそろって、投資情報誌インスティチューショナル・インベスターが昨年行ったトップ・アナリストを選ぶアンケート調査で名を連ねている。
J.P.モルガンは、株式公開や新株発行の引き受け業務に強みを持つゴールドマン・サックス・グループやクレディ・スイス・ファースト・ボストンからのシェア奪還を狙っている。アーマダ大型バリュー株投信の運用担当者サンテリ氏は「J.P.モルガンにとって、事業基盤の拡大が必要なのは明らか。株式ビジネスの戦略上、アナリストが果たす役割は大きい」とし、「企業が事業の確立を目指す場合は、前進と後退を繰り返すことになる」と述べた。
J.P.モルガンの広報担当者は「過去数カ月にわたり当社は優秀な人材を集めた」とし、「こうした状況が株式調査部門でも続くと期待している」と語った。