(回答先: 雪印食、4月解散を決定・グループ再建計画も見直しへ(日経マネー&マーケット) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 2 月 22 日 12:14:29)
偽装牛肉詐件を引き起こした雪印食品は22日、自力再建を断念、4月末をめどに会社を解散することを正式発表した。不祥事をきっかけに東証二部上場企業が消滅するという前代未聞の出来事となったが、激震はまだおさまらない。親会社の雪印乳業も外部企業との提携交渉が固まり次第、西紘平社長ら現経営陣の退任は避けられない情勢だ。泥にまみれたスノーブランドが輝きを取り戻す日は来るのか。
同日正午から記者会見を開いた同社の岩瀬弘士郎社長は、「わが国の食品表示の信頼性を失わせるような大事件を起こしたことに対し、社会的責任を痛感している」と陳謝。法的整理ではなく解散を選択した理由について「債権者に負担をかけないため」と説明した。
従業員952人については大半を3月末にいったん解雇したうえで、事業譲渡による雇用の継続や就職あっせんに全力を挙げるとするが、岩瀬社長は「不祥事に関係のない大多数の従業員やその家族を思うと、胸の張り裂けるような思いだ」と述べた。
今後は3月末をめどに順次会社の営業を縮小・廃止したうえ、4月末をめどに臨時株主総会を開いて会社を解散することになる。
解散に伴う損失額は約240億円で、債権者向けの取引債務については、親会社の雪印乳業の支援を受けて全額支払うという。
雪印食品は、不祥事の舞台となった食肉事業から撤退したが、ハムやソーセージなどの商品もスーパーや百貨店の店頭から撤去されたため、売上高が事件前の5分の1以下に激減。資金繰りも悪化していた。
経団連の今井敬会長が「世の中を欺き、税金をだまし取るのは企業家でも経済人でもない。解散して出直すぐらいでないといけない」と酷評されるなど非難の声は高まり、65%の株式を持つ親会社の雪印乳業は、雪印食品を解体して事業ごとに売却することを検討していたが、現段階では買い手はみつかっていない。
一方、雪印食品側は「売却の話は事実無根」と強く否定。パート従業員や嘱託社員全員のクビ切りを決めたうえで、「今月上旬までに再建計画を発表する」と存続にこだわっていたが、同社の商品を扱う店舗は依然、事件前の3割程度にとどまっており、事業を継続しても損失が膨らむばかり。
消費者の信頼を裏切ることの怖さを思い知らされ、このままでは雪印本体の経営再建も危うくなるとの判断から、再建断念に追い込まれた。
とはいえ、雪印乳業の経営再建も順調ではない。外資のネスレグループの資本参加が最有力だったが、農水省や農水族議員の横ヤリが入って白紙に戻った。
このため、赤字の牛乳事業については分離し、全国酪農業協同組合連合会や全国農業協同組合連合会へ移管する方向で調整を進めている。食品卸売子会社の雪印アクセスも売却し、伊藤忠商事の資本参加が検討されているが、消費者の信頼回復には本体の経営陣の刷新が不可欠との声が、農水当局や支援企業側からも上がっているという。
平成12年夏に集団食中毒事件を起こした際、「私は寝てないんです」との迷言を吐いた当時の石川哲郎社長らが辞任し、同年7月に西社長が就任し、経営再建に向けて踏み出したばかりだったが、グループ全体の経営姿勢を問われかねない不祥事の頻発が大きな打撃となっている。
トップブランドから転げ落ち、単独ベースの売上高では明治乳業、森永乳業に次いで3位に転落。グループ解体が進めば連結でも首位の座からの転落は確実となっている。再建への道のりは極めて厳しそうだ。