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「“小泉・官邸”は、少なくとも経済政策に関して言えば、財務省のコントロール下に置かれている、といえるのではないか」
経済産業省幹部が批判的なニュアンスを込めてこう言ってみせる。
話は２月１４日にさかのぼる。小泉首相は柳沢拍夫金融担当相を官邸に呼び、６項目からなる金融システム安定化策を指示した。
この“指示”の主な内容は、金融庁の特別検査の厳格化、特別検査結果の公表、整理回収機構による不良債権買い取りの促進などを主な柱としている。
そして小泉首相は会談の席上、柳沢金融担当相に対して次のような指示を与えたのである。
「大手銀行の自己資本や体力を気にせずに特別検査を進め、（経営不振状態にある）大口債務者を厳格に査定するように」
官邸関係者が言う。
「この“小泉・柳沢会談”が開かれるにあたって、小泉首相に対して徹底的なレクチャーを行ったのは、財務省出身の丹呉泰健秘書官だったのです。この件に関して言えば、小泉首相の“側近中の側近”とだれしもが認める飯島勲秘書官は全くのノータッチだったのです。飯島秘書官は１７日からのブッシュ米大統領の訪日に備える形で、ロジスティック担当に専念していました」
このコメントから判断して、小泉首相の柳沢金融担当相に対する一連の“指示”については、丹呉秘書官によるレクチャーが大きく影響を与えたようだ。
「そして、この丹呉秘書官は、ストレートな形で財務省の武藤敏郎事務次官の管理下に置かれているのです」（財務省関係者）
もっとも、“官邸”の内部において、武藤次官の直接指揮下に置かれているのは、何も丹呉秘書官だけではない。経済財政諮問会議（議長・小泉首相）の事務局を取り仕切る、坂篤郎内閣府政策統括官（経済財政・経済社会システム担当）もその１人だ。
「武藤次官は、丹呉秘書官、坂政策統括官に直接指示を出すことで、官邸を実質的なコントロール下に置いているのです。言い換えれば“官邸ジャック”ということに他なりません」（前述の経産省幹部）
ところが、ここへ来てこの“武藤−坂−丹呉ライン”に公然と反旗を翻す人物が出てきてしまったのである。
その人物とは、日本銀行の速水優総裁だ。
２月１９日、官邸で小泉首相と速水総裁の会談が持たれたが、その席上、速水総裁は公的資金の早期注入を決断するよう進言したとされる。
改めて説明するまでもなく、この“会談”が持たれるにあたって、事前に首相にレクチャーを行ったのは丹呉秘書官だ。
「そもそもこの“会談”は、ブッシュ米大統領の来日前にセッティングされる予定になっていたものなのです。ところが、小泉首相のスケジュール調整がどうしてもできなかったために、１９日に先送りされてしまったのです」（飯島秘書官）
財務省幹部が言う。
「もともと速水総裁と財務省はあまり折り合いが良くなかったために、財務省サイドはこの“直接会談”を相当警戒していたのです。そうした状況の中で、ああした“進言”が飛び出したために、あわてて事実確認に走ったのです」
こうした一連の経緯から判断して、最終的に「４月以降に公的資金注入の先送り」というシナリオを書いたのは、金融庁の意向をくんだ財務省である可能性が高いとみるべきであろう。
どうやら、財務省・金融庁連合軍と日銀は、全面戦争状態に突入しつつあるようだ。
2002/2/22
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。