株価低迷が長引き、外国人投資家主導での相場反転を待望する声が高まっている。しかし、外資系証券経由の買い注文は国内年金資金など特定の投資セクターに偏る一方、海外年金の中には日本株の保有比率をさらに引き下げる動きさえ出ている。
●欧州系買い越しの正体
2月8日のSQ以降、売り基調を続ける米国系証券を横目に欧州系証券が連日の買い越しに転じ、市場の注目を集めた。欧州系全体で500億円近く買い越す日もあり、首をかしげる向きが多かった。華僑資本が動いているとの憶測も一部で流れたが、発注元は買い支えを狙った国内年金との見方が定説になっている。
海外勢の日本株へのスタンスでは強気派は少数のようだ。ブッシュ大統領来日の直前にも、米国のある有力年金が日本株の保有比率を12%から8%に落としたとの情報が市場を走った。「海外拠点を通じてヒアリングしたら“景況の悪化や円安傾向が鮮明になれば保有比率をもっと下げる用意がある”と回答したファンドが少なからずあった」(大手証券)と言い、売り物が枯れたとは言い難い。
●買い余力も買える銘柄もなし
米国年金はこれまで、日本株の底値離脱を何度も主導してきたが、今回ばかりは勝手が違う。株式資産配分の大半を占める母国市場の底値が見えず、新たなリスクをとりにくいためだ。
米国の機関投資家は、1-3月期決算のおよその内容を発表する「プレアナウンス」が終わる4月までは動けないとみられている。営業用リポートで「米国株が値下がりすれば資金が米国市場から欧州や日本市場に流出する」とする業者もあるが、こうした期待は空振りに終わりそうだ。
欧州のうち日本株投資比率の高いといわれる英国年金は、2003年6月から年金会計が変更され過不足額の計上が全面的に義務付けられることに備え、リスク抑制型運用へのシフトを始めている。ここ数年、まともな成績の上がらなかった日本株の持ち高を増やす動機は薄い。
2000年4月を出発点とする下落トレンドの元凶は、ハイテクと銀行株。しかし、ハイテク株については「半導体関連企業をアナリストが訪問したら、仕事のない従業員が落ち葉の掃除をしていた」などの話には事欠かない。大手銀行株も「公的資金注入の期待がある半面、減資のリスクがあって買えない」(準大手証券)といい、買えるセクターがないのが実情だ。
(半沢 昭悟)