榊原英資慶大教授(元財務省財務官)は21日午後、都内の日本外国特派員協会で講演し、小泉純一郎首相の構造改革政策を批判した。日本に必要な政策は規制緩和や与党による法案事前審査に伴う硬直性の是正を挙げて「需要政策でデフレを止めるのは難しい」と話した。また終了後、記者団に対し為替相場の動向について「1ドル=150―160円までいくかもしれない」と予測した。「トレンドは円安」とも話し、円安基調は今後も続くとの見通しも示した。
また現在の為替相場の水準が経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)を反映しているか問われると、言及を避けた。日銀に対し、政府は一段の緩和を求めているが、榊原氏は「金融緩和は(経済の活性化に)効かない。問題はストラクチャーなんだから、理論的に効くのは円安だ」と否定的な見解を示し、まず取り組むべき事柄として政官財が硬直的に結びついた日本社会の構造改革の必要性を訴えた。今年の経済成長率は「マイナス2―マイナス3%だろう」と楽観できないことも改めて示した。