計基準設定主体である企業会計基準委員会は21日、財務諸表における資本の部の表示の改定や自己株式の取得を資本取引とすることなどを柱とする「自己株式及び法定準備金の取崩等に関する会計基準」を公表した。この基準は2001年6月と11月の商法改正を受けたもので、4月1日以後開始する事業年度から適用される。
従来、貸借対照表の資本の部は、資本金、資本準備金、利益準備金、再評価差額金、その他の剰余金、その他有価証券評価差額金――などに区分されていたが、新たに資本金、資本剰余金、利益剰余金、土地評価差額金、その他有価証券評価差額金、自己株式――などと表示することにした。従来、取得した自己株式は資産の部に計上されていたが、取得原価で資本の部から控除することに改められた。
また、従来は自己株式の売却損益は損益計算書の営業外損益に計上することとされていたが、新しい会計基準では、自己株式を処分する際に差益が出た場合は、「その他資本剰余金」に計上し、差損が出れば、「その他資本剰余金」から減額し、減額しきれない場合は利益剰余金のうちの当期未処分利益から減額することにした。
商法改正により、資本剰余金の区分における「その他資本剰余金」が配当可能となったことを受け、株主がその他資本剰余金の処分による配当を受けた場合、配当の対象となる有価証券が売買目的有価証券である場合を除いて、原則として配当受け取り額を有価証券の簿価から減額することとした。