「長谷工コーポレーションの再建にとりあえず道筋がついたことで、いよいよ次は、みずほフィナンシャルグループがメーンバンクとなっているハザマ、佐藤工業、飛島建設の“処理”に焦点が移ってきた。この3社が単独で生き残っていくことは100%不可能。金融庁から強い圧力もあることから、みずほグループとしても年度内処理に動かざるを得ないだろう」
みずほグループ役員がこう言ってみせる。
経営再建中のマンション建設最大手、長谷工コーポレーションが今日(2月21日)にも主要取引銀行の大和銀行、中央三井信託銀行、日本興業銀行の3行に対して総額1500億円の債務の株式化を正式に要請する。
この要請については、前述の3行サイドも受け入れる方針だ。
長谷工は前述した金融支援策とワンパッケージ形で、有利子負債の圧縮を柱とする“新再建計画”を策定した。最大の焦点となる有利子負債圧縮計画については、2001年9月末時点で5447億円に達していた有利子負債を2005年3月末までの3年間で、2500億円以下にまで削減する、としている。
この“長谷工処理”に関して、最も大きな影響力を行使したとされるのは金融庁だ。
話は2月11日にさかのぼる。
3連休最後となるこの日、柳沢伯夫金融担当相が非公式な形で、富士銀行の山本恵朗頭取(みずほホールディングス会長)を呼び、一連の不良債権処理問題をめぐって協議を行ったのである。
「柳沢金融担当相としては、山本頭取をみずほグループの代表として呼んだのです。一部には、興銀の西村正雄頭取も同席していた、とする情報は誤りだ。西村頭取についてはこの日呼ばれていない。柳沢金融担当相が山本頭取を呼んだ理由は、不良債権−中でも問題ゼネコンの処理を加速させるように要請することにあった、と言っていいでしょう」(関係者)
ちなみにこの2月11日に柳沢金融担当相に呼ばれた銀行トップは、山本頭取以外には三井住友銀行の西川善文頭取の2人だけだ。
いずれも複数の経営不振ゼネコンを抱えている銀行だ。
「西川頭取は、柳沢金融担当相の“要請”にこたえる形で、三井住友銀行がメーンバンクとなっているフジタの“再建・処理策”を早々に打ち出したのです」(金融庁関係者)
この結果、三井住友銀行がメーンバンクとして抱えている問題ゼネコンは、残すところ熊谷組だけとなってしまったのである。
一方、みずほグループが抱えている問題ゼネコンは、ハザマ、佐藤工業、飛島建設の3社にのぼる。
「長谷工は、そもそも大和銀行をメーンバンクとしており、興銀−みずほグループは準メーンの一行にすぎない。逆に言えば、だからこそ手を付けやすかった、といえるだろう」(金融庁関係者)
いずれにしても今後の焦点は、前述したゼネコン3社の動きが焦点となってくることは間違いない。
「場合によっては、3社を大同合併する“みずほ建設構想”も浮上してくる可能性もあるだろう」(大手都銀役員)
「3月末が1つのタイムリミット」(関係者)といわれる中、“3社”およびみずほグループの動きには要注目だ。
2002/2/21