大手銀行への公的資金再注入の期待が後退したことで、銀行株が再び、下落の勢いを加速させている。ブッシュ米大統領の来日前に竹中平蔵経済財政担当相や塩川正十郎財相らが“積極発言”し、市場の期待が膨らんだと思ったら、一転、離日に合わせるようにトーンダウン。期待が大きかった分、落胆も大きく、19日には4大金融グループが急落した。「不良債権問題がまた先送りされる」との不安感が台頭する中、20日も銀行株は不安定な値動きをしており、3月危機説が頭をもたげる展開となっている。
公的資金注入に対する政府の足並みが「消極姿勢」でそろったことを嫌気し、19日の株式市場では、銀行株が軒並み急落した。20日は朝方、さすがにみずほ、三菱東京、UFJ、三井住友銀行の4大銀行が買い戻されたものの、プラスとマイナスを行ったり来たりする不安定な動きとなっている。
市場の大きな落胆を誘ったのは、公的資金再注入に関し、「積極派」だった竹中担当相、塩川財相がトーンダウンしたことだ。米大統領来日を前に、「経済の活力をつける有力な手段」(塩川財相)としていたにもかかわらず、17日夜に政府内で意見調整を行った結果、「消極派」の柳沢伯夫金融担当相に足並みがそろってしまった。市場では「日米首脳会談を控えたリップサービスに過ぎなかった」(外資系証券)と失望感が広がり、「問題の先送りを嫌気した海外機関投資家などが投げ売りの状態」(準大手証券)という。
一方、日銀の速水優総裁は4月のペイオフ解禁を控えて、大手銀行への公的資金再注入の必要性を首相に訴え、金融安定化策について早期の決断を求めた。