20日午前の短期金融市場では、ユーロ円金利先物相場が続落(金利は上昇)している。ペイオフ解禁を控えて期末越え金利の上昇懸念が強まるなか、銀行経営に対する不安が一段の上昇圧力になると警戒されている。短期ゾーンのスワップ取引で先物の売りに相当する固定金利の払いが強いことも影響している。
「期末越えの現物金利が上昇しそうなときに、日銀は何の対応もしようがないとの失望感が広がっている。公的資金の注入について政府・日銀の対応が遅過ぎることへのいら立ちもある。現物金利の上昇でこの日のTIBORも上昇しそうだ」(三井住友銀行市場営業部・有麻智之上席部長代理)。
この日、売買高が最も膨らんでいる2002年3月物は、前日比0.005ポイント安い99.855で取引を始め、1月7日以来の安値となる99.845(0.155%)まで売られている。最終取引を来月に控え、ユーロ円TIBOR(東京銀行間取引金利)3カ月物が一段と上昇するとの警戒感が売りにつながっている。
スワップ市場では中短期ゾーンを中心に一部の邦銀や外銀から固定金利の払いが強まっており、金先の期先限月にヘッジ売りを促している。2年物のスワップレートは前日比0.01ポイント高い0.18%まで上昇した。前日のユーロ円LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が軒並み上昇しており、固定受けを積み上げていた向きから持ち高を解消する動きが出ている。
現物金利が上昇
19日のユーロ円現物市場では、2、3カ月物で邦銀海外支店の調達希望金利が0.14%まで引き上げられていたが、運用希望が見られず、取引は成立しなかったもようだ。ドル資金を確保するための円資金調達もあるようだ。一方、無担保コール取引や譲渡性預金(CD)でも、一部の都銀の調達希望金利は 0.10%を上回っているとの観測もあるが、運用側の慎重な姿勢を受けて調達はあまり進んでいない。
前日の市場では、政府系金融機関による期末越えの資金運用の入札で都銀が0.10%を大きく上回る水準で応札したとの指摘が出ていた。機関投資家のまとまった資金運用が見られないなかで、都銀が積極的な資金確保に動いたようだ。期末接近に加えて株安など外部環境の悪化が資金確保を急がせている。
政府要人から銀行への公的資金の強制注入に対して否定的な発言が相次ぎ、前日の株式相場は銀行株主導で下落。株安は銀行の経営体力を弱めるため、信用リスクに対する警戒感から資金運用が一段と慎重になる公算もある。
20日付の日経新聞によると、日銀の速水優総裁は19日、小泉純一郎首相に対して、追加金融緩和を視野に入れたうえで公的資金の注入を含めた金融安定化策を進言した。