【ワシントン逸見義行】
18日閉幕した日米財界人会議では、米側から、日本の不良債権処理が遅れていることに強い懸念が示されただけでなく、不良債権に伴う土地や過剰設備などの不稼動資産を売買するための市場整備を求める声が相次いだ。日本の不良債権処理が加速すれば、ビジネスチャンスが増えるとの米企業のしたたかな戦略がのぞいている。
講演した米大統領経済諮問委員会のハバード委員長も「不良債権処理に合わせて、不稼動資産の処分が景気回復に極めて重要」と強調。同日の分科会でも、米側は、80年代末から90年代にかけての米国貯蓄貸付組合(S&L)の不良債権処理では「不稼動資産を2年間凍結したため、処理が遅れたことを教訓にすべきだ」と指摘した。
共同声明でも、日本への要請項目に「不良債権、過剰債務問題を解決し、不良資産をタイムリーに処理するための十分な施策の実施」という文言が盛り込まれた。会議出席者によると、これは、銀行から不良債権を買い取る整理回収機構(RCC)の財源充実とRCCが買い取った資産を売却できる市場の迅速な整備を意味しているという。
日本側には「米側にこれほど不稼動資産の市場整備を求める声が強いとは思わなかった」と驚く半面、「不稼動資産を売買する日本企業がほとんど見当たらない以上、米企業が積極的に参入することは歓迎すべき」との受け止め方も多い。
[毎日新聞2月19日] ( 2002-02-19-20:51 )