本日午前10時半頃から国会参議院本会議場で行われたブッシュ大統領の演説をNHKの放送を通じて見聞きした感想をアップする。
総体的な印象は、ブッシュ大統領はあまり乗ってないという感じで、スピーチライターも無難にまとめたというものだった。
日米同盟云々で語られた対日外交政策を一言で言えば、9・11で参戦に踏み込んだのだから、これからも、どこまでも自分たちの行動に従い、後方支援にとどまらずより前方での戦闘に参加するように早くなりなさいというものである。
今回の演説で核心だと思えた内容は、「日本には競争力のある企業と優秀な労働者がいる」という部分である。
これは、「小泉改革」を全面的に支持し、「小泉改革」により日本の繁栄が甦るという脈略のなかで語られたものである。
ブッシュ大統領は、対日経済政策として、「競争」と「規制緩和」を繰り返し語った。
(「規制緩和」が米国にどういう結果をもたらしたかということは、航空産業や金融業界を見れば一目瞭然である。それぞれの業界で独占的状況が生まれ、消費者は、高料金・高リスク・利便性低下を強いられている)
日本を誉めた言葉のどこに問題(核心)があるのかというと、企業と労働者は取り上げられているにも関わらず、経営者については触れられていないからである。
(ブッシュ大統領演説のこの部分も、列席した国会議員や大臣のみなさんの拍手の対象になっていた)
経営者は企業に含まれているという考え方もできるだろうが、それなら、労働者も同じことでことさら取り上げる必要はなく、「日本には競争力のある企業がある」で済む話である。
スピーチライター(強欲者=悪魔崇拝者の代理人)は、全体やセンテンスのみならずワンワード単位で言葉を吟味して原稿を書いている。さらに言えば、9・11後の“十字軍”のように、本音をどこかに盛り込みたいという奇妙な習性までもっている。
結論的に言えば、「日本には競争力のある企業と優秀な労働者がいる」という部分は、「日本にある競争力のある企業と労働者の支配権をいただく」という宣言である。
ブッシュ政権を手先として使っている『強欲者組織』は、日本経済を破壊する過程でボロ儲けを続けているのみならず、ガタガタになったところでおいしい企業(ジューシー・ターゲット)を手に入れようとしているのである。
これについては、無能な経営者が有能な経営者に代わるのなら結構なことではないかと思う人もいるだろう。
2万人の労働者の首を切って黒字化を果たしたカルロス・ゴーンを褒め称えている人が少なからず存在する国だから、そう思う人が数多くいてもおかしくないと思う。
しかし、ゴーン氏流のやり口は、最低限見込める売上高と粗利益から“逆算”して余剰の人員をはじき出し、それらを解雇してしまうというものである。よほど無能な経営者でもない限り黒字に転換するものである。
有能な経営者とは、与件のなかで赤字を黒字に転換できたり、いったん採用した従業員の首を切ることなく経営を続けていく人たちのことである。
旧日産自動車の経営者は、赤字を黒字に転換することも余剰人員を解雇することもできずに立ち往生し、ルノーの資本参加を仰ぐことで、自らはできなかった首切りをやってもらったのである。そうでありながら、塙氏は、自らの無能と責任を棚上げし、今なお日産自動車の会長職にとどまっている。
日産の今後がどうなるかはわからないが、日産の場合は、資本提携であり、その相手もフランス系の資本だったことでまだ救いがあると思っている。
しかし、米国系『強欲者組織』が企業を買収する目的は、そこから短期間にどれだけの収益を上げるかと言うことだけである。
これを「企業の論理」や「資本の論理」から言って当然だと思う人は、どうぞお仲間になったつもりで彼らと競争して欲しい。
(彼らの言う“競争”とは、「エンロン破綻詐欺」で見られるように、国家権力までが味方に付いた詐欺行為での追い落としである。公正なルールも適用されないのに、知性で競争できると考えるのはアホである(失礼ナイーブ過ぎる))
80年代から90年代中期まで米国で吹き荒れたM&Aの嵐を振り返ればわかるように、買収した企業の優良部分はまっさきに売り払い、残った部分は徹底的な“合理化”を行って評価される内容にしてから売り払った。
要は、買収した企業が本来持っていた事業活動力を強化するとか、従業員の生活を考慮することなんか端からテーマになっていないのである。
買収先の企業を担保に借入金で買収するというメチャクチャな手法なのだから、短期決戦に走るのは当然である。
だから、狙われる企業は、めぼしい資産をたっぷり保有している企業であり、財務内容に比して株式の評価が低い企業であり、今はダメだがブランド力が優れている企業であり、世評は高くないが実はすごい技術を持っている企業などである。
そして、そのような企業を“見合う”(ボロ儲けできる)価額で買収できるよう、その企業に打撃を与えたり(雪印のように)、株式市場に破壊的な打撃を与えることまでするのである。
株式市場が弱気一色に染まり続ければ、個別企業の財務状況や収益性という経済論理を超えて株価は下落する。
このような状況で、資産をたっぷり持っている企業を買収すれば、それを使ってさらに他の企業を買収することもできる。現金性の資産をたっぷり持っているのなら、それをせしめることができる。工場などの土地も、ショッピングセンターにしたほうが儲かる場所であれば、開発業者に叩き売る。
『強欲者組織』は、とにかく、自分たちの資産がどれだけ増えるのかということしか頭にないのである。
事業活動を続けさせる買収企業も、徹底的な合理化(解雇乱発・低賃金・過重労働)が計られ、とにかく利益が出るかたちにもっていく。そうして評価が高くなったところで売り払うのである。
(『強欲者組織』のメンバーは、シコシコ働くことなんかバカらしく大嫌いであり、代理人を使って経営させるとしても、本来の事業活動をどうやってうまく進めるかということを思い煩うなんてゴメンだという性格の持ち主である。ブッシュ大統領は下っ端だからしょうがないのだろうがよく頑張っているのかもね)
カルロス・ゴーン氏の経営を高く評価する風潮は、『強欲者組織』のこのような暴虐的収奪を感謝の念をもって迎え入れてしまう倒錯した精神的罠を用意するものである。
日本経済を支配する最大の武器は、「日本銀行」の買収である。
紙切れを印刷して、それを利子を付けて貸し付け、それで儲けた紙切れで好きなものが手に入るのである。これほどおいしい事業は他にはない。さらに言えば、国家も紙切れで借金してくれるので、それをエサに国家そのものまで支配できる。
「FP親衛隊国家保安本部」殿は現状の法律を盾に日銀株は魅力がないと言われたが、97年に日本銀行法を改正したように、法律はいくらでも改正できるものである。
政府からの独立性を高めた日銀から、政府の持ち株制限・配当規制・国庫納付金義務などを取り外せば、米国のFRB(連邦準備制度)とそれほど変わらないものになる。
ちなみに、米国に12行ある連邦準備銀行はそれぞれ純粋な民間銀行であり、1,500億ドル(約19兆8千億円)以上もの年間利益を上げていながら、法で定められた免税特典により1ドルたりとも所得税を支払っていない。
(合衆国憲法第1条第8節に基づけば、通貨発行権は連邦議会にしかないにも関わらず、連邦準備法は紙幣を発行することでその規定をごまかした)
今後、「小泉改革」などの自国破壊的政策で日本経済がますます悪化していけば、『強欲者組織』の企業買収がまるで救済活動であるかのように受け入れられるようになるだろう。そして、さらには、日銀の無能さまでが指摘されるようになれば、『強欲者組織』が日本銀行を買収することを歓呼の声で支持する事態さえ起こりかねない。
しばらく経過すれば、「どうもおかしい」とか「前よりも生活が苦しくなった」といった思いにかられる人も増えるだろうが、「仕事があるだけましだ」、「立派な経営者がきたんだからいつかは良くなるだろう」と納得してなんとか気を取り直す日々を続けるようになるかもしれない。
そして、TVや新聞などの主要メディアは、『強欲者組織』にとって精神的日本支配の道具であるがゆえに、比較的高所得の職場であり続ける。
そういうメディアは、今でも経済苦の自殺者やホームレスの実態を報道しないように、“競争に負けた”人々の苦境を伝えることを避けるだろう。
日本政府も、現実の政策がそうであるように、“競争に負けた”人々が勝手に自殺することやホームレスに身をやつすことは国費の節約になり“大歓迎”である。
ここまで書いてきた内容を妄想だと受け止めてもらって構わないが、このまま進めば、遠い未来ではなく、極めて近いうちに現実の出来事になると確信している。
今、日本という近代的共同体は、崩壊の瀬戸際に立っている。
そして、その共同体を統治している人たちは、無能のせいなのか意図的なものなのかはわからないが、背中を押してまで崩壊の淵に落とそうとしているのである。
※ 「議論・雑談1」ボードに『ささやかながら少しはましな経済状況を』というタイトルの書き込みを行って、崩壊の瀬戸際にある日本がなんとか踏みとどまれる政策をみなさんと論議できるかたちにしています。短時間で数量的な検討もしないまままとめたものなので恐縮なんですが...。
参照していただくとともに、活発なご意見をアップしていただければと思っています。(文面とは違って深刻になることはないと思っていますので、気楽にああだこうだと議論してください)
http://www.asyura.com/sora/dispute1/msg/119.html