「無言の忠告的なことはあるんじゃないか」――。ブッシュ米大統領が日米首脳会談で小泉改革への全面支持を表明、経済の低迷が続く日本に特段の注文をつけなかったことについて、塩川正十郎財務相は19日、“無言の圧力”を感じたとの感想を述べた。
今回の日米首脳会談では日本の経済再生が焦点と一つになるとみられていたが、塩川財務相は会見で「(会談は)日韓中の政治問題が中心で、経済問題は、そんなに大統領から言われるとは思ってなかった」と事前の予想を披露したが、「日本のマスコミが経済問題をやかましく言っていたので、緊張していた」と日本政府の本音もチラリ。会談直前まで、同相や柳沢伯夫金融担当相、竹中平蔵経済財政担当相ら主要経済閣僚と不良債権処理に絡む公的資金の投入問題などについて意見のすり合わせをしていたことも明らかにした。
そのうえで、塩川財務相は「(会談では)ちゃんとやらないと世界は見ているぞという雰囲気はあった」。9日のオタワでの先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、日本の経済構造改革の説明に対して質問や意見が全く出ず、「各国の理解を得た」と胸を張った塩川財務相だが、今回は米側が敢えて言及しないことによる無言のメッセージをひしひしと感じている様子だった。【川俣友宏】
[毎日新聞2月19日] ( 2002-02-19-18:51 )