速水日銀総裁は、ムーディーズなど格付け会社による日本国債の格付け見直しについて、日本の潜在力を考えれば、簡単に格下げするのはおかしい、と述べた。
衆議院予算委員会で民主党の五十嵐文彦委員の質問に答えたもの。
速水日銀総裁は、最近の長期金利に関して、「最近の国債市場は非常に神経質になっている。市場では、円安を契機とした外人投資家の債券売却や、決算期を控えて国内投資家が買い控えている」としたうえで、「極めて緩和的な金融環境が続いていることや、市場参加者の景況感が弱いことから、今のところ長期金利が急激に上昇するような地合いにはない」と述べた。
ただ、速水日銀総裁は、「日本の国債残高は、先進国のなかで最高水準を示している。財政のサステナビリティに対して市場は厳しい目をむけていることは事実。仮に国債価格が下落し、長期金利が急激に上昇するようなことになれば、金融機関経営や実体経済に大きな影響を与える可能性は十分ある。国債市場の動向や影響を注意深くみていきたい」と語った。
また、速水日銀総裁は、格付け会社が、円建て日本国債の格付けを見直しするとしていることに関し、「日本が戦後半世紀積み上げてきた対外債権超過や、経常黒字、通貨が長期的に強いことや、個人金融資産1400兆円など、(日本の)潜在的な力を考えてくれれば、簡単に(国債の)格を落とすというのはおかしいことだ」との考えを示した。