「不良債権処理やデフレ対策へ向けて必要な措置はとる−」
昨日(2月18日)午前に開かれた日米首脳会談の後、小泉純一郎首相とブッシュ大統領はそろって共同記者会見に臨んだ。前述のコメントは、その際に小泉首相から発せられたものだ。そしてここで言う「必要な措置」の中に、いわゆる“公的資金注入”が含まれている、と見てまず間違いないだろう。
こうした“小泉発言”を受ける形でブッシュ大統領は、「小泉首相は何をすべきか知っている−」と述べ、期待感をにじませたのである。そして一連のやりとりを聞く限り、“公的資金注入”は日米間の“公約”となってしまった感が強い。
一方、竹中平蔵経済財政担当相は一昨日(2月17日)の記者会見で、「特別検査の結果が3月31日まで何も出ないということはあり得ない−」と述べ、公的資金注入に踏み切る、という決断が3月中にも行われるであろう、との見解を示した。
こうした一連の流れを受けて、特別検査が実施されている大手行に対する公的資金注入問題は、3月中にもその結論が下される、とする見方が大勢を占めてきたと言っていいだろう。
「今のままの状況で行ったら、それは100%不可能だろう。つまり3月中に結論を出すことなどできっこない、ということだ。各大手行の担当者も腹の中では同じことを考えているのは間違いない。小泉総理も竹中担当大臣も、金融庁にダマされている」
大手行の経営中枢幹部は、こう言ってのける。
「100%不可能」とは、いったいどういうことなのだろうか。
「それというのも、現在主要行に対して実施されている特別検査の“結果が”、実施銀行に対して通知−つまりフィードバックされるのは4月に入ってから、とされているからです。こうしたスケジュールについては、金融庁もわれわれにハッキリそう言っています。そうしたことから考えて、現段階ではどのような形がとられるのか、まだ具体的に決まっていませんが、特別検査の結果が対外的に公表されるのも、早くて4月中ということになります。いくら竹中経済財政担当大臣がハッパをかけても、3月中に結論を出すことは、事実上不可能なのです」(前述の大手銀行経営中枢幹部)
とりあえず、公的資金による資本注入が実現するまでのプロセスを以下にトレースしてみることにする。
特別検査の結果を通知→引当不足の債権について引当増→自己資本減少→資本注入
「たとえ4月になって特別検査の結果が通知されたとしても、さかのぼって2002年3月末決算に反映されることは十分に可能です。したがって、決算作業上は、4月に入って通知が来ても何ら支障は来さないのです」(大手都銀役員)
ここきて、金融庁サイドは、公的資金注入問題に関してダンマリを決め込んでいるが、その裏側には前述したような“もくろみ”があったのである。
「政治サイドの冷静さを欠いた議論に乗る必要はまったくない。4月に入れば、公的資金注入を巡る議論もいく分、沈静化するだろう。その段階でジックリ判断すればいい」(金融庁幹部)
まさに金融庁は、“サボタージュ”に打って出たのである。
さて、小泉総理はこうした金融庁に対して、どの様に対応するのだろうか。
2002/2/19