日新製鋼の労使は18日までに、従業員約5300人(管理職と出向者含む)の給与(月例賃金)を平均6%カットすることで合意した。2年間の限定措置とし、3月支給分から実施する。
鉄鋼メーカーでは、神戸製鋼所や住友金属工業の経営側も年収5〜10%減を打ち出しているが、両社は、一時金(ボーナス)中心の削減になる見通しだ。
日新製鋼の労使は、急激な業績悪化に伴い、賃金カットについて昨年末から交渉し、春闘交渉と切り離して合意した。毎月の生活費を賄う基準賃金のカットは一般に、一時金に比べて労組側の抵抗感は強いが、日新の経営側は「コスト削減策として一日も早く取り組む必要がある」と主張。組合側は「強い逆風の中にあり、やむを得ない選択だった。生活を守るため一時金や雇用の確保に力を尽くす」(関係者)と話している。
春闘で労組側は、希望退職者の募集などを行わない雇用安定協定の締結と、昨春実績を3万円下回る120万円の一時金(年間)を要求している。こちらも厳しい交渉になりそうだ。 【高橋秀郎】