連合が奇妙にワークシェアリングに執心である。これに対し業種にもよるが経営者側は冷淡、中立の(どうかねぇ)行政当局は「考えておきましょう」である。官庁用語をホンヤクすると、まあそのうち下火になるだろうということだ。
組合員が組合費を払うのは究極のところ雇用保証の保険金である。高度成長時代にはベースアップをめぐって総評・日経連は丁々発止とやりあったが、今は昔、そんな時代があったの、である。
この不況ではゼロ回答はジョーシキ、管理職の手当カット、賞与減額から露骨なリストラへ及ぶ。企業別組合のかなしさ、会社もよくよく苦しいんだよねと理解の早いこと。断固ストライキでと目をつりあげてもストライキの経験者がいないから手続きがわからない。
こうモノがだぶついていると経営者は「もう少し長くやってくれ」と言いかねない。スト中は賃金払わないでもすむからだ。そもそも賃金以外のフリンジ・ベネフィット(社宅、交通手当etc)が高いから社員が減らなくてはあまり実効はあがらない。
ワークシェアリングが成功するためには「乏しきをわかつ」連帯感が必要なのだが、労組の組織率20%スレスレでは互助精神など求むべくもない。連合会長盛んにドイツではこうだ、オランダではこうだと博識をひけらかすが、残念でした。ここは日本です。
早くからワークシェアリングを実行している例もないことはない。国家・地方公務員である。5人ですむ仕事を10人でやり一度獲得した定員数は死んでもはなさない。
チンタラチンタラ働いてつつがなく定年をむかえれば高額の公務員年金(昔は恩給と言った)がいただける。なによりお上はツブれないからこんな道楽もできる。 (三連星)
[毎日新聞2月18日] ( 2002-02-18-23:09 )