生命保険会社の個人保険の保有契約高が平成13年度も減り続け、5年連続の減少となることが確実となった。新契約の獲得がままならないうえ、解約傾向に歯止めがかからず、3月末までの平成13年度中に挽回(ばんかい)できるほどの好材料も見当たらないためだ。長引く保有契約高の減少が企業収益を圧迫するのは確実で、生保業界の再編、淘汰を促すのは必至の情勢。契約者からは「万が一に備える保険なのに、保険会社自身が万が一に直面している」と不安が聞かれるほどだ。
保険契約高が5年連続で減少するのは、不況に伴う生保不信により、保険販売が低調なうえ、解約が高水準で続いているため。生命保険協会によると昨年11月末の保有契約高は42社合計で1274兆円と前年同期比2.3%の減少。また大手7社の昨年4月から12月までの新規契約高も前年同期比2%程度の減少。年明け後も販売は芳しくない。
一方、大手7社の昨年4−12月の解約・失効高は3%増となっている。この勢いを3月末までで推計すると、年度累計で保有契約高が2%以上の減少となるのは確実な情勢で、18日付日本経済新聞も減少幅を2−3%と見込んでいる。
生保の経営環境をめぐっては、株価相場の低迷や低金利が長引いて資産運用収益も減少。契約者に約束した利率に、実際の運用がとどかない「逆ザヤ」も大問題としてのしかかっている。
このため生保業界にはさらなる再編・淘汰が待ち受けていると見る声が強い。しかも、昨年3月期には中堅5社が経営破綻しているなどの経緯もあり、今後の対象は、業界に影響力の大きい大規模な生保となる可能性が高い。
すでに先月末、明治・安田が平成16年をめどに合併することを発表。また朝日生命もミレア保険グループへの統合前倒し交渉が決裂、2月15日には来年4月までに内勤職員の3分の1にあたる2255人を削減するなどの再建策を発表するなど、動きは急だ。
今後、企業が破綻したさいに契約者の利益を守るための「生命保険契約者保護機構」の資金枠について、さらなる充実が検討されることも予想される。今後も保険離れが進むことは確実な情勢だが、加入する場合も、保険選びの条件として保険会社の信頼性が筆頭にくるケースが増えそうだ。