「今回のブッシュ大統領の来日に合わせて、実はIMF(国際通貨基金)の幹部も日本に来ているのです。その意味するところは極めて重要だ…」
官邸関係者がこう言ってみせる。
多くのメディアが報じているところではあるが、2月17日、ブッシュ大統領が来日した。18日午前、小泉純一郎首相との間で会談が持たれる。
「会談のテーマは、経済問題と北朝鮮問題。優先順位としては北朝鮮問題の方が上位に来るだろう。しかしこのテーマは、極めてナイーブなテーマなので、会談の内容がそっくりそのままメディアに流れることはないだろうし、会談後すぐさま具体的な動きが出てくるものでもない。そうなると結果的に、経済問題−中でも不良債権処理問題に焦点があたっていくことになるのは必至だろう。従って日米首脳会談の結果をステレオタイプ的に、『不良債権処理問題に関して早急に成果を出さなければ、米国は日本を見捨てる−』と位置付けることは、事実を正しく反映していない、ということになろう」(前述の官邸関係者)
そうは言っても、日本国内の“公的資金注入派”が、この日米首脳会談を一つのキッカケに、反転攻勢を強めてくるのは必至の情勢だ。
事実、公的資金注入派の最右翼に位置する竹中平蔵経済財政担当相は昨日、テレビ朝日の「サンデー・プロジェクト」で、「(公的資金注入を行うべきかどうかの判断は)3月末まで待っている必要はない。それ以前に行動を起こさなくてはならない−」と発言している。
「ここへ来て財務省が、公的資金注入論に傾きつつあることは間違いない。そうした点で、“金融庁包囲網”はせばまりつつあるのは確実だ」(官邸関係者)
財務省幹部が言う。
「今年1月までの1年間で、金融機関を除く民間部門による国債、FB(政府短期証券)の保有残高は、何と30兆円も増えているのです。これはペイオフ解禁を直前に控え、民間金融機関から資金がシフトしてきているからだ、と見ていいだろう。またMMFからのシフトもあるだろう。いずれにしても、“マネー”の流れに異変が起こっているのです」
いささか旧聞に属する話だが、今月5日のこと、財務省が実施した割引短期国債(TB)の入札で、約2兆1000億円の予定額に対して、金融機関からの応札が300兆円近くにも達したのである。応札倍率は前回(1月8日)の2.7倍から一気に142.3倍にも上昇したのだ。
「まさに“異常事態”としか言いようがない。その一方で、銀行間の資金マーケットであるコール市場は、まさに閑古鳥が鳴いている状態で、年度末越えとなる2−3カ月物の取引はほとんど成立していないのが実情だ。民間部門のみならず金融機関もリスクを極度に避ける状態にある、と言えるだろう。まさに金融マーケットはマヒ状態に陥っているのです。なぜそうした状態に陥っているのかというと、“危ない”と思われる金融機関が複数、マーケットに居座っているからです。そうした点を金融庁は全く理解していない」(財務省幹部)
まさに金融庁こそが、金融システム危機の“元凶”と言えるだろう。
2002/2/18