【ワシントン逸見義行】
日米の有力企業首脳が両国の経済関係について話し合う日米財界人会議が17日、2日間の日程でワシントン市内のホテルで始まった。初日の全体会議では、米側から日本の経済構造改革のスピードが遅すぎることや、日本の一部に円安による景気回復への期待感があることに不満が相次いだ。今井敬経団連会長は「銀行への公的資金の再投入をためらうべきではないし、日銀にも思い切った金融緩和が求められている」と強調した。
会議を開催した米日経済協議会のアームストロング会長(AT&T会長)は「米国ではエンロン、Kマートなどの大手有名企業が倒産したのと対照的に、日本ではダイエーが救済され、改革実現への市場の期待感を押さえ込んでしまった」と述べ、ダイエーの再建策に失望感を表明した。そのうえで「日本の敵は時間だ」と指摘し、不良債権処理を軸とした経済構造改革に迅速で大胆に取り組むよう求めた。
米大手証券のモルガン・スタンレーのスコット社長は、日本に円安誘導の動きがあることについて「外国人投資家は、円の下落が止まるまでは日本の証券を買わない。市場は円安が改革を遅らせることを懸念している」と語り、円安に依存して景気回復を図る考えを強く批判した。
これに対し、今井会長は「米国はレーガン改革から経済を立て直すのに10年かかった。小泉改革の行方を見守ってほしい」と説明した。
[毎日新聞2月18日] ( 2002-02-18-10:44 )