脅迫的取り立てで逮捕された商工ローン最大手の日栄(本社・京都市)の元社員2人が15日までに、松田一男・前社長(79)と同社などを相手取り、「松田社長の恐怖支配で強圧的取り立てを行わざるを得なかった。(告訴に対し)証拠ねつ造を強要されるなど精神的苦痛を被った」などとして、慰謝料や解雇による逸失利益など計約1億5500万円の損害賠償を求めて京都地裁に提訴した。
訴状によると、松田前社長は、2人が脅迫的取り立てをしたとして債務者から告訴された直後の99年12月、自宅で「へた打ちやがって、会社に迷惑かけやがって」などと言い、2人のうちの一人(35)の頭部を平手などで十数回殴打。さらに本社で「口裏合わせたら何とかなる」と言って、違法行為がない内容の取り立て記録を自ら下書きし、元社員に清書させて証拠ねつ造を強要したという。
2人は00年2月、大阪府警に貸金業規制法違反容疑で逮捕され、有罪判決が確定したが、「松田社長から再就職を世話するなどと言われたため罪を認めた」と主張。「松田社長の指示で一身に責任をかぶったのに、社員の独断的犯罪とされ、不当解雇された」と訴えている。 【野上哲】
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