大手銀行が金融庁の特別検査の厳格化を受け、不良債権処理額を上積みする方向となった。不振企業向けの貸倒引当金の積み増しが必至なためで、2002年3月期の不良債権処理総額は当初想定した6兆5000億円から1兆円以上膨らむ公算がある。フジタのような企業の整理・再編が加速するほか、一部行では処理原資が枯渇、最終赤字拡大による自己資本の減少に直面し、公的資金の再注入論が強まる展開も見込まれる。
大手14行が2002年3月期に見込む不良債権処理損失は約6兆5000億円。政府内には検査の厳格化によって「1兆円規模の処理積み増し」になるとの見方も出ている。3月期の平均自己資本比率は10.7%程度と見込まれ、不良債権処理損が12兆―13兆円と倍増しても国際規制で必要な8%の自己資本比率は維持できるとアナリストは試算する。大和総研では「2兆5000億円の連結赤字予想が8兆円規模になっても8%は維持できる」と指摘する。