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(回答先: 中国の政府債務は日本のより大きい？ 投稿者 楽観派 日時 2002 年 11 月 14 日 16:41:04)
この投稿はロンドンで発行されているエコノミストの記事を私が翻訳したものである。この投稿の主旨は、日本のメディアが報道しない中国への見解を紹介することにより、中国の台頭により日本が脅かされるといった過度の悲観論とのバランスをとるためである。この記事が正確な予測であるという保証はない。作者は英国のファイナンシャル・タイムズの記者である。
アジア−太平洋
中国は金を狙う（成功に向けて全力をあげるという意味）
２００２年において中国は他のほとんどの国の１０年分の変化をとげるだろう。革命がおきることはないが、１３億の国民のうち、変化の影響を免れるものはわずかだ。１０月に新しい指導者が共産党の指揮をとるようになるだろう。フー国家主席を待ちうける難題の中でもＷＴＯ加入の問題ほどやっかいなものはないだろう。外国製品への関税は下がり続け、失業率は逆に上がり続ける。中国の銀行の不良債権は増え続け内陸部の収入は減少するだろう。そうした難題が山積みした状態では指導者の行動は縛られるものだ。だが、中国は国のプライドをかけて２００８年オリンピックという議題を付け加えた。その時トーチが北京につくのを世界は見守ることになるだろう。その準備として２２０億ドルという巨額な建設・美化作戦が２００２年に始まる。
だがフー氏と指導陣にとっての真の難題は、高層建築や光ファイバーとは何の関係もない。その難題とは、２００８年までにそうした世界クラスの設備に値する国を創造できるかどうかだ。答えは、「もうちょっと」だ。２００２年においても変わろうとしない独裁的体質と損失を垂れ流す国有企業が、２００８年においても失望をもたらすだろう。
オリンピック誘致の成功は多くの中国人にとって国際社会に受け入れられた証左であるだけでなく、過去２２年間の急激な中国の経済的変貌が報いられたことを示唆する。だが今、勝利の輝きは色あせてきた。中国指導者、企業、政策立案者にはイバラの道が待ちうけている。
中国は今年の後半からＷＴＯ加入後の規約に公式に従うことになる。この加入は何千年もの中華大国の歴史において始めて、海外の制度の規約に従い広範な経済改革を実施すると自主的に約束した最初の事件だ。それが意味するところは、最終的に中国経済のほとんど全ての分野が国際競争にさらされることを意味する。中国でビジネスを展開してきた外国人にとっては、快適さのレベルが上がることであり、これまで不可能だったＷＴＯの手法による法的問題の正常化をもたらす。
市場開放の度合いを最大限計るには加入後５年ほど待たなければならないが、２００２年においてほころびの可能性があまりに現実性をおびてくるだろう。ニューヨークやワシントンへのテロリストの攻撃の衝撃により世界が不況に突入するとすれば中国政府が期待していた外国からの直接投資の急激な増加はおきないだろう。貿易もまたがっかりする状態だ。輸出は２００１年に陰りが出始め、２００２年には中国の貿易黒字の大幅な縮小が予測されており、１９９９年以来の人民元の切り下げが議論されている。
こうした困難な状況がからみあい、一触即発の状況をもたらす。貿易と海外からの投資は近年ＧＤＰの重要な要素としてますます大きくなってきており、世界不況は切実な問題となる。だが、ＷＴＯに加入したゆえに、金融、製造業、農業の各分野で容赦のない構造改革に中国を追いやる。２００２年に最初の失業を経験する者は５００万人ほどだが、これは労働者だけの問題ではない。指導者達も凍りつく。朱首相は「友よ、拍手したまえ。だがいったいどれだけの競争に直面するのかまだわからない。私の心は安らぐことはない」は最近演説している。
少なくとも後１年は経済運営にたずさわる朱首相は、社会不安を静めるためには経済成長を６％以上にしなければいけないことを自覚している。莫大な財政投資が２００２年もこの目標達成のために実施される。１５００億人民元（約１８０億ドル）がインフラ関連公共事業に費やされ、職と消費の下支えをする。ＧＤＰ比でいうと、中国政府はすでに日本より多くの政府債務をかかえていると推測され、２００２年にはさらに大きな悩みの種となる。
国の内部の圧力が中国の対外関係の緊張をもたらすだろう。今年には中国の、アメリカのテロへの戦争への支援が本当にアメリカを支援するためか、中国がイスラム教原理主義を嫌っているためかわかるだろう。特に西部自治区では。中国はアメリカと同じ位アフガニスタンのイスラム原理主義者が壊滅されることを望んでいる。だがタリバン後の不安定な政権が海外の救いを求めるときに、米国、ロシアとならび中国も影響力を持ちたいだろう。中国の米国のミサイル防衛計画への頑な反対も国際関係を悪化させうる。
（すでに終了した党大会の部分を２パラグラフ抜きます。興味あれば原文を参照してください）
この新しい世代は多くの問題に直面するが、最も扱いが難しいのはどうやって政治改革をおこなうかだ。これは切実な問題だ。高官による汚職は中国人に衝撃を与えた。あるケースでは、中国で５番目に大きい都市シン陽で、マフィアのボスが市長、市役所、収入役、高等検察官他多数から収入の一部を上納させていたことが判明した。中国政府は強硬姿勢をとった。幹部達が処刑、服役するのは日常事となった。２００２年もその路線を続ける予定だ。だが中国に絶対的な権力がある限り、それは必ず腐敗し、本当に成功をおさめることはできないだろう。
汚職、巨大な政府債務、そして独裁制。中国はこれら全て２００２年も引き継ぐ。だが現在起きている変化は方向は正しい。それは中国を世界で確固たる地位をえた繁栄する国家とするだろう。もしフー氏と指導陣が２００８年までこの難しい変身をやりとげることができれば、彼らはオリンピック・メダルに値するだろう。
ジェイムズ・キンジ ファイナンシャル・タイムズ北京特派員
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。