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UBS Homepage
http://www.ubs.com/
東京市場UBS株価11/6 5,900円
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=8657.t&d=b
【チューリヒ=磯山友幸】スイスに本拠を置く国際金融機関UBSの堅実路線が光ってきた。欧州大陸の多くの金融機関が大型M&A(合併・買収)のツケで業績悪化に陥っているのを横目に、底堅い収益を維持。金融株が暴落する中、UBS株の下落率は小幅にとどまる。欧州大陸の銀行余剰が鮮明になり、金融機関の再々編が予想される中、UBSは自律成長路線で勝ち残りを目指す。
スイス二大金融グループであるUBSとクレディ・スイス・グループ。両社の株価は二年前まで八十スイスフラン前後で同水準だったが、最近は格差が鮮明になってきた。六十スイスフラン台を維持するUBSに対し、クレディ・スイスは二十スイスフラン台。その差はほぼ三倍だ。
株価が大きく開いたのは、保険子会社が株安に直撃されてクレディ・スイスの業績が落ち込んだことが一因。だが年初からの主要金融機関の株価下落率を比べると、UBSの堅実さが浮かび上がる。クレディ・スイス、独コメルツ銀行、独ヒポ・フェラインス銀行、独保険大手アリアンツの下落率は軒並み六〇%を超す。ところがUBSは一七%の下落にとどまる。
底堅い株価の背景には他の金融機関に比べて堅調な業績がある。二〇〇一年上半期(一―六月)の最終損益は、クレディ・スイスが二十七億千六百万スイスフラン、UBSが二十九億六千四百万スイスフランとほぼ肩を並べていた。景気後退と株安に見舞われた一年後の今年上半期、クレディ・スイスは二億二千七百万スイスフラン(約百九十億円)の赤字に転落したが、UBSは二十六億九千四百万スイスフラン(約二千二百六十億円)と九%減益にとどまった。
「中核事業に集中する戦略と、コストとリスクを管理する戦略が奏功した」。業績が底堅い理由をマルセル・オスペルUBS会長はこう分析する。株価がライバルに比べ堅調なのも「景気低迷の影響を軽微にとどめる守りの姿勢だけでなく、攻めの姿勢も反映している」とみる。攻めとは、欧州主要五カ国で富裕層を対象とした資産管理業務(ウェルスマネジメント)を拡大したことや、米国で投資銀行業務を強化したことを指す。
一九九〇年代、欧州金融機関はM&Aなどで事業の多角化と拡大を急いだ。今、その反動が出ている。コメルツ銀行はアジアなど海外事業の大幅縮小を表明、チューリッヒ・ファイナンシャル・サービシズも資産運用部門を売却した。欧州の金融界では最近、「中核事業への回帰」が半ば合言葉になっている。
UBS自身も九八年に旧スイス・ユニオン銀行とスイス銀行(SBC)の合併で誕生。二〇〇〇年には米大手証券ペインウェバーを傘下に収めた。だがM&Aはあくまで中核事業を強化するための手段。オスペル会長は「UBSは何年も前に中核事業に絞り込む決断をしていた。M&Aで多角化を目指す野心はまったくなかった」と語る。中核事業である個人顧客向けのウェルスマネジメントと、法人顧客向けの資産運用業務と投資銀行業務を強化するためM&Aを活用したという。
そのUBSは約二年前、明確に方針を変えた。ペインウェバー買収で事業基盤が整ったと判断。既存事業の自律的成長を目指す路線にかじを切ったのだ。
ライバルのクレディ・スイスがウインタートウル保険を傘下に収め、華々しく「バンカシュランス(銀行と保険の兼業)路線」に乗り出した時も動じなかった。もちろん役員会で中核事業への絞り込みが正しいか議論し、バンカシュランス参入も検討したが、最終的に参入を見送った。顧客に保険商品を提供するのであれば、保険会社と提携したり、他社の保険商品を扱うことでも可能と判断したためだ。
その代わり、中核事業を自律的に成長させるための手を着実に打ってきた。今夏には、中東のバーレーンにイスラム法にのっとった金融機関を新設。これまでもロンドンやスイスをベースに中東の富裕層に照準を合わせた事業を展開してきたが、本格的に「湾岸マネー」の取り込みに入る。
日本でも数年前にウェルスマネジメント事業に着手したが、今年初めに「時期尚早」という結論を出した。もっとも、ペイオフ解禁に向け日本の富裕層が海外に目を向ける流れが強まるとの見方は多い。日本の富裕層を対象にした金融サービスに本格的に乗り出す日もいずれ来そうだ。
【表】欧州大陸の主な金融機関の年初からの株価下落率(%)
○ UBS 17
○ BNPパリバ 24
○ ソシエテ・ジェネラル 24
○ ドイツ銀行 45
○ ミュンヘン再保険 58
○ コメルツ銀行 60
○ ヒポ・フェラインス銀行 60
○ クレディ・スイス・グループ 61
○ アリアンツ 61
○ チューリッヒ・ファイナンシャル・サービシズ 61