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【国土交通省との交通需要推計をめぐる闘い】 投稿者 たにん 日時 2002 年 11 月 07 日 18:01:31:

#猪瀬直樹氏による努力も虚しく空周りしている印象があるが、今後も行政の不正と利権構造の摘出に努めてもらいたい

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【国土交通省との交通需要推計をめぐる闘い】

 その闘いは10月29日の第26回委員会で、事実上の決着をみた。

 2006年に人口がピークになり以降減少に転じるが、国土交通省の交通需要推
計では交通量のピークは2030年、としていた。推計値が過大ではないか、と6
月28日の第2回委員会で指摘して以来4カ月もの間、国土交通省とのやりとり
がつづいた。国交省側は、人口が減少しても少子高齢化によって運転免許保有
率は上昇する、子供は運転しないけれど大人が増える分だけ免許の保有者が多
くなるので交通量は増大する、と言うのである。80年から93年までのデータを
もとに25歳から29歳までの免許保有率の上限を95%と恣意的に設定して将来の
交通需要を予測するという誤魔化しを隠しつづけてきた。

 11月1日、国土交通省道路局より道路関係四公団民営化推進委員会宛に、交
通需要推計に関して誤りを認めた以下の文書が提出された。

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道路関係四公団民営化推進委員会殿
                          国土交通省 道路局

             交通需要推計について

 交通需要推計に関して、種々のご指摘ありがとうございました。
 別紙に示すとおり、一連の推計作業の中で、データの扱いに関して一部不適
切な部分がありましたので、当該部分については修正することといたしました。

 今後とも、当該作業について最新の注意を払いつつ実施していく所存であり
ますので、引き続きご指導よろしくお願いいたします。


[別紙]

1.免許保有率推計モデルのうち、25〜29歳の将来の免許保有率を、1980〜19
93年のデータを用いて成長率曲線を設定し、推計したが、以下の通り免許保有
率の上限値(RateMAX)=95%が不適切であり、修正を行う。

<1>最新のデータを入手する努力が不十分であったことに起因して、成長率曲
  線のパラメータの現況値補正を行なったとき、過去の再現性を十分チェッ
  クしていなかったこと。

<2>成長率曲線の RateMAXをパラメータとして推計するに当たり、最初の試算
  時においては0・95を上回る値となっていたが、収束条件を十分みたして
  いなかった。再計算した場合に RateMAXが0・95を下回る結果となったこ
  と。

2.将来の就業率については、トレンドモデルで推計していたが、GDPの設
定根拠である労働力人口と不整合が生じていたので修正を行う。

----------------------------------------------------------------------

 第一回「交通需要推計の問題性について
       ――「ニュースの考古学」2002.7.11および10.17より――」

●2030年までは増える?

 国土交通省は「交通需要推計」で初めて将来の交通需要は減少傾向となる、
と発表した。これは読売新聞が六月二十二日土曜日に「車交通量、初の“減少”
予測」とスクープの形で一面トップで報じたものだが、その脇に道路公団民営
化委員会が決定、との見出しがある。この奇妙な符合こそ、国土交通省が画策
したメディア操作なのであった。

 道路公団民営会員の名簿が発表されたのは前日の金曜日の三時十五分である。
翌日の土曜日の見出しは、この委員決定になると見越して「交通需要推計」を
リークしてぶつけてきたのだ。さらに手が込んでいるのは、二十四日月曜日の
朝日新聞もまた一面で「交通量二〇三〇年度以降減少」と「交通需要推計」に
ついて報じた。これもリークである。二十四日午後一時から三時まで国交省の
審議会(社会資本整備審議会道路分科会基本政策部会)が開かれ、「交通需要
推計」はようやくその場で配布された資料なのだから。

 第一回の道路公団民営化委員会は同じ日の四時十五分から開かれる予定になっ
ていた。読売も朝日も、国交省にしてはなかなか殊勝な結論ではないか、と好
意的な論調で書いている。だがよく考えてほしい。二〇三〇年度までは減少し
ない、ということは現状の建設計画を変えずに全部やってしまいますよ、を意
味している。

 今年は道路整備五箇年計画の改訂の年である。第十二次が二〇〇三年三月に
終わり、四月から第十三次道路整備五箇年計画が始まる。あと約30年間、交
通需要が増えつづけるとしたらその間に六回も五箇年計画が策定され、現計画
額七十五兆円と同水準だとして四百五十兆円ほどが道路建設に使われることに
なる。

 道路四公団の個別路線の需要推計は、この「交通需要推計」をベースにして
つくられるのだから、甘言には要注意である。このデータがほんとうに正しい
のか、メディアは疑いの眼を忘れてはならない。日本国の人口一億二千七百万
人は二〇〇六年をピークに減少傾向に転じる。高齢化もすすむ。生産人口も減
少する。それでも二〇三〇年まで交通量は増えつづける? とにかく国交省の
データをそのまま信じていたらこれからも無駄な道路が建設されるに違いない。
 
●論理とデータによる闘い
 
 人口のピークが二〇〇六年であり、交通需要のピークがそれより二十四年後
になるわけがないのは誰の目にも明らかだろう。せいぜい時差はあっても十年
程度とみるのが常識ではないか。なにがなんでも需要が伸びる、したがって道
路は必要、と言いたいがためのつくられた予測なのである。

 六月二十八日の第二回委員会で僕はこの点を指摘した。なぜなら七月一日の
第三回委員会で国土交通省道路局長のヒアリングを行なう予定になっていたか
らである。第三回委員会で、需要推計のもとになったバックデータ(国交省が
プログラムと呼んでいるもの)を提出するよう要求した。さらに七月十一日に
も、九九年度の六十歳から六十四歳までの女性の運転免許保有率は二〇パーセ
ントなのに、二〇二〇年度では七一パーセントに上昇すると予測していること
などの根拠を問うた。二〇パーセントから七〇パーセントになれば、当然、交
通需要が伸びるわけだ。「女性の労働力率が現在のスウェーデン並みになる」
という理屈は噴飯もので、それなら「スウェーデン並み」と予測されるに足る
合理的根拠を示せ、など幾つもの質問を重ねた。

 七月十六日に事務局が国交省の回答を持参してきた。それによると同年齢の
女性の労働力率が日本は三八・六パーセントに対してスウェーデンは四六・五
パーセントであることなど、直接に推計できるデータを示せなかった。これで
はなにも検証できない。

 プログラムを電子データで提出してほしい、という要求に対しては、七月二
十五日に回答が届いた。「プログラムは著作権の対象として保護されている」
「プログラムの著作権は財団法人・計量計画研究所が保有している」ので公表
できない、というのである。需要推計をだまって信用しろ、と言っているのと
同然であり、国民には検証の権利がないかのごとくなのだ。

 そこで翌二十六日の第八回委員会で、交通需要推計の計算方法になぜ著作権
が発生するのか、と疑義を呈した。国交省には説明責任があるはずなのに、計
量計画研究所へ仕事を丸投げしながら問題をすり替えているのだ。

「計量計画研究所の著作物であったとしても、情報公開法が著作権に優先する」
(著作権法18条など)、「国の著作物が一般に著作権の対象外とされている」
(著作権法13条)と僕は指摘してさらに発言をつづけた。

「国交省は計量計画研究所に税金を使って委託した。そこで発生した著作権で
すね。著作権と言い張るけれど、税金を使って委託したものを国民が知る権利
がある。それを私的著作物として扱うこと自体がおかしい。このおかしさ、わ
かりますね」

●「御指摘に感謝致します」

 こうしたやりとりの流れで言い逃れができなくなった国交省は極秘扱いにし
ていた百三十ページにもわたる「交通需要推計検討資料」をついにホームペー
ジ上に公開するにいたった
http://www.mlit.go.jp/road/kanren/suikei/juyou.html )。

「検討資料」には計算モデルが記載されているので、誰でも検算できるはずで
あった。ところが必要なパラメータ(変数)の数値が記載されていない。そこ
で「検討資料」によってモデル式が示されたとする国交省の回答は誤りである、
と八月九日に僕はさらに質問書で追い詰めた。すると八月十四日の盆の最中、
とうとうデータを隠していたと自ら認めたのである。

「『検討資料』の作成にあたって、見落とした部分であり、ご指摘に感謝致し
ます」

 委員会がスタートして一カ月半、理詰めでようやくここまで攻め込んだ。論
理とデータの闘いである。だが国交省は水増しの交通需要予測を引っ込めたわ
けではない。九月になっても闘いはつづき、新たな質問書を突きつけた。十月
には闘いがヤマ場を迎えた。需要予測の正式発表を急いでいたからだ。

 次号から三回にわたって、猪瀬事務所と国交省への本件をめぐる往復書簡を
お届けしよう。

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