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イラク攻撃中の日本発世界恐慌は困る−。竹中平蔵金融・経済財政担当相(51)の不良債権処理加速策に対し、米中間選挙で圧勝、信任を得た米ブッシュ政権からは、後顧の憂いなくイラク攻撃に出る足場固めとして、攻撃中は世界経済を安定させるため、ソフト路線で不良債権と大手銀行の国家管理を求める動きが伝わってきた。大手銀や企業の破綻(はたん)が相次ぐハードランディング路線をある程度支持しつつもだ。そのうえで、海外金融機関からは、倒産処理のビッグチャンスを期待して、ハゲタカファンドなど外資がメガバンクにも触手−との仰天情報も流れている。
「日本の不良債権問題は、クリスマス前などの『年内説』も取りざたされる米国のイラク攻撃と密接に絡んでいる。ブッシュ米政権が神経質に不良債権問題の解決を迫るのは、そのためだ」
日米関係に詳しい与党のベテラン議員は、こう明かす。不良債権問題とイラク攻撃の間はどうリンクしているのか。
「中間選挙で上下両院、州知事で圧勝したブッシュ政権が最も懸念するのは、世界恐慌も視野に、イラク攻撃突入後に世界経済が変調をきたすこと。イラク攻撃は対米テロを誘発しやすく、米国経済にはマイナス。攻撃の最中に、不良債権問題が発端となって変調をきたせば、攻撃どころではなくなり、政権の命取りになりかねない」
9月の日米首脳会談で、ブッシュ大統領が小泉純一郎首相に不良債権問題の解決を強く迫ったのも、「イラク攻撃の突入前に、何としても不安の芽を摘み取っておきたいとの強い思いがあったからだ」とも説明する。
ブッシュ政権が日本に求めるのは、必ずしもハードランディング型ではない不良債権処理とされる。米系金融機関の幹部が事情を説明する。
「大手の銀行や企業がバタバタ潰(つぶ)れるようなハードランディング型をやられたら、世界経済は大混乱に陥る。米国が望むのは、日本経済を安定・活性化させる不良債権処理。手っ取り早い方法は、不良債権とそれを抱える銀行を一括して国のコントロール下に置くことだ」
10月30日公表の不良債権処理加速策を中心とする総合デフレ対策は、与党と大手銀の大逆襲で加速策の強硬色は骨抜きになった。だが、銀行は自己防衛で処理の加速を迫られており、米国の意向を反映するように、不良債権と銀行の「国家管理」の色彩が強い。
まず、処理を加速させるため、「整理回収機構(RCC)への不良債権の売却促進」を掲げている。これは「当事者能力の失った銀行に代わり、国の機関であるRCCが再建見込みのない不良債権を管理することを意味する」(野党議員)。
メーンバンクの支援のもと、国が再建可能と判断した貸出先企業については、新設される「産業再生機構」(仮称)がメーンバンクとともに再建を模索する。
その過程で再建のメドが立たない場合は、やはりRCCに引き取られることになる。
このほか、貸出資産の査定厳格化も盛り込まれており、貸出先の破綻に備え、銀行が積む貸し倒れ引当金も強化される。これにより、再建見込みがないと判断された企業は、RCCへの売却のほか、法的(倒産)処理に移されやすくなる。
そこで登場してくるのが、『ハゲタカ』と揶揄(やゆ)される外資系ファンドなどである。
外資系ファンドは、不良債権を安く買いたたき、その企業の価値を高めて売却益を得るというノウハウにたけている。
「RCCは買い取った債権を回収する機関だが、不良再建処理の加速で引き取る債権が膨大になり、いちいち回収しているヒマはなくなる。大量の不良債権は結局、外資系ファンドなどに売却され、米国などの外資系ファンドに巨額の利益をもたらす。米国が官民挙げて強硬路線の『竹中支持』を表明したのもそのためだ」(大手銀幹部)
この構図は銀行も同じだ。対策には、不良債権処理を加速させるなかで経営が悪化した大手銀に対し、政府の積極的な関与が盛り込まれた。
過去に公的資金を注入した大手銀行から取得した優先株を普通株に転換し、事実上、国有化する選択肢も残している。
普通株への転換を現時点で行った場合、どうなるのか。
HSBC証券の試算では、国の持ち株比率は三井トラスト・ホールディングスが50%強と最も高い。りそなホールディングスが40%弱、UFJホールディングスが24%、三井住友銀行が20%になるという。
国が一躍、大手銀の大株主になってしまう。
みずほホールディングスの場合、現時点で転換可能な優先株が少なく、1%強と見込まれる。
「事実上、国有化される銀行についても、旧長銀(現新生銀行)のように、不良債権と同様、外資系ファンドなどが虎視眈々と狙っている」(外資系金融機関幹部)
米国にすれば、世界経済の「不安な火種」である不良債権と銀行を国のコントロール下に置いてくれれば、安心してイラク攻撃に踏み切れる。
加えて、国有化された不良債権や銀行は、ハゲタカファンドなどのメシの種になるなど、いいことずくめなのだ。
そこで、日本の銀行界は戦々恐々。UFJ銀行の中堅行員からはこんなため息も聞こえる。
「政府には、国際業務をやる銀行は東京三菱銀行と三井住友銀行の財閥系2行で十分と考えているフシがある。マーケットもそんな空気を感じているのか、UFJとみずほの株価は似たような推移をしている」
香港の投資顧問筋からは、こんな情報も伝わってくる。
「ある外資がみずほグループ買収の可能性を本気で模索しているようだ。ホワイトハウス高官を使い、日本政府に探りを入れているとも聞く」
不良債権処理の嵐が吹き荒れる日本は、海外のハゲタカ勢の格好の草刈り場になりそうだ。