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「目くそ、鼻くそを笑うがごとし」 − 今回はリチャード・クー氏を俎上に − 投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 06 日 19:03:28:

(回答先: R・クー氏を大激怒させたアノ男…竹中・木村路線を超辛口批判(ZAKZAK 2002/11/06) 投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2002 年 11 月 06 日 16:47:43)

「竹中プロジェクト」批判はいくつも投稿したので、「国家破産」ボードでは珍しいリチャード・クー氏の政策を取り上げる。

リチャード・クー氏と木村氏のどちらが目くそでどちらが鼻くそであるかはどうでもいいことだが、木村氏が提示している政策のほうがリカバリーが難しいものだからより悪質だとは言える。

クー氏の財政出動拡大政策は究極的には公的債務で“焚き火”をすることで解決できるが、木村氏の「不良債権処理加速化」がもたらす経済破壊(デフレ不況の深化とメガバンクの外資化)は全国一斉に“放火”をするようなものだから、尋常なかたちでの日本経済再生は不可能である。

クー氏が「竹中プロジェクト」に対して行っている批判はそれなりに的を得ている。

「腐ったところは大企業でも、どんどん淘汰(とうた)すべきという竹中発言は、米国を大恐慌に陥れたフーバー大統領の財務長官、アンドリュー・メロン氏と完全に一致する。GDP(国内総生産)の半分が吹っ飛び、株価が10分の1、失業率が20%以上。不良債権処理を強引に進めればそうなりかねない」

「はっきり言って、子供だまし。繰り返し言うが、不況の原因は全体の7−8割の企業が借金返済に必死という現実。30社や51社を整理すること自体に意味はない。整理したら残りの企業はおびえきってしまい、お家取り潰(つぶ)しかと、余計に借金返済に精を出す。その分、さらに景気は縮小して悪循環に。行き着く先は、まさにハードランディングのシナリオで大恐慌だ」


しかし、クー氏が財政出動拡大政策を唱えるなら、“焚き火”でもいいが、その後始末方法もきちんと提示しなければならない。(ファイナンスの方法と弊害も真剣に考えなければならない段階に入っている)

その提示がなければ、財政出動拡大のツケである大増税がデフレ不況を“再来”させるわけだから、木村氏の政策実施を数年遅らせるだけの役割しか果たさないことになる。
(クー氏の政策は1990年代のもので、そのツケが竹中−木村氏の政策をまっとうなものと思わせる状況を生み出したとも言える)

クー氏は、「銀行に金は集まるが借り手がいない状態。そっくりそのまま、デフレギャップになっている」という認識を基礎に、だからこそ、「政府が財政出動をして穴を埋めなければならないんだ」と財政出動拡大の合理性を主張していると思われる。

さらには、「次に金額。大きければ大きいほど、プロアクティブ(能動的)なほどいい。最低5兆から10兆円の財政出動は必要」だと言い、「3つ目に景気が好循環に入るまでブレーキを決して踏んではならない。不良債権処理は好循環に入ってからの話だ」とする。

まず、クー氏は、「ゼロ金利なのに、大半の企業が(金銭貸借の)バランスシートをきれいにするために懸命に借金返済をしている」と言っているように、現状を“低金利”だと捉えているようだ。
名目は低金利でも実質は高金利だという認識がなければ、公的債務の増大による財政出動を声高には叫ばないだろう。(インフレ時代の実質金利は2%ほどで今は4%程度)
企業が懸命に借金を返済しているのは、産業によっては5%というデフレ状況のなかで、債務が過大な負担になると考えているからである。

企業は事業活動で得たキャッシュフローで債務を返済しているが、国家が債務を返済する原資は、借換債で間延びさせているとはいえ税金である。

クー氏が財政出動政策を主張するのなら、「景気が好循環に入るまでブレーキを決して踏んではならない」というかけ声を叫ぶだけではなく、総合的な経済政策を打ち出して、こうすればこの時期までに好況に入るからそれまでの財政出動だという説明が必要である。

そう言った後になんだが、財政出動で需要が支えられているのなら、好況に入っても財政支出が減少することで景気はその分冷え込むことになる。
だから、その落ち込みをどうやって民間ベースでリカバリーするかを説明しなければならない。

輸出の拡大が期待できないなかで財政出動に依存した経済運営を行えば、財政出動の拡大から脱却することはできない。


クー氏は、インフレターゲティング論も批判しているが、あまりにも皮相的なもので、自己の主張とも反する部分がある。

「日銀の速水(優)さんが『来年はインフレですよ』と言ったところで、今、借金返済をしている方々が『わかった。債務超過であることを忘れて、お金を借りよう』とはならない」と言っている。
他ではもっと詳細な説明をしているのかも知れないが、インタゲ論はこのような子供だましの話ではないだろう。

クー氏は、インタゲ論批判のなかで、「銀行がこれ以上貸し出しを増やそうとすれば、相当貸し出し基準を落とさなければならない。それは背任行為であり犯罪だ」と言っているが、財政出動拡大政策の在り方として、「3つ目に景気が好循環に入るまでブレーキを決して踏んではならない。不良債権処理は好循環に入ってからの話だ」とまで言っているのだから、貸し出しを増やしても背任行為にはならないはずだ。(他のテーマで語った内容を他のテーマに結びつけることはちょっと気が引けるが、経済事象とはそういうものであり、そのような思考がなければ経済論理は生み出せないのだからいいだろう)

クー氏には、財政出動をじゃぶじゃぶ行って需要を支えるから、銀行は安心して貸し出しを増加して欲しいというくらいのことは言って欲しかった。

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