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「財務省内部は、『国債発行30兆円枠』を何が何でも死守する、ということで一枚岩でまとまっているわけではない。むしろ“30兆円枠”に固執しているのは、主計局ラインだけ、と言っていいだろう」
財務省主税局幹部がこう言ってみせる。
「どうせ税収不足になるのだから、国債の発行が必要になる−」
自民党の麻生太郎政調会長は、4日のNHKの討論番組で、こう言い放った。
この2つのコメントの意味するところは極めて興味深い。繰り返すが、冒頭のコメントは“財務省主税局幹部”によるものだ。
つまり、「税収不足を補うために国債を増発し、結果的に“30兆円枠”の突破」というシナリオが急浮上しつつある、といえるだろう。
「これなら小泉首相のメンツも立つのではないだろうか…」(自民党有力国会議員)
現在、「国債発行30兆円枠」に固執しているのは、小泉純一郎首相−武藤敏郎・財務事務次官のラインだけというのが実情だ。
この武藤次官を“主計局”あるいは“財務省財政規律派”と置きかえれば、よくわかるだろう。 去る10月30日、政府は、不良債権処理を加速させる金融システム安定化策と、総合デフレ対策をまとめ、発表した。この総合デフレ対策の中には、景気対策の中核をなすと思われる補正予算案は入っていない。
「本年度補正予算案については、来年の通常国会冒頭で提出する方針。今月末に補正予算の規模や中身を最終的に判断する方向だ」(官邸中枢スタッフ)
こうしたコメントから判断して、「税収不足→国債発行→“30兆円枠”の突破→補正予算の編成」という流れになる可能性が高い、といっていいだろう。
「とはいえ、財務省内の“財政規律派”は補正予算編成に関して“政治”サイドにフリーハンドを与えてくることは絶対にないだろう。将来的な財源を確保することなしに、補正予算を編成することは容認しないだろう」(前述の財務省主税局幹部)
しかし、それは補正予算の規模も範囲も限定的になってしまう可能性は高い。
そうなると後は、小泉首相の政治力に頼るしかないのだが、
「現在の“官邸”が、財務省−特に武藤次官の強い影響力下に置かれていることは間違いない。従って、補正予算を編成するにしても財政規律を重視せざるを得ない状況に置かれていることは間違いない。しかし、それ以前に小泉首相自身がガチガチの“財政規律派”なのだ。そうしたことから考えても、与党が期待するような大型補正が組まれる可能性は低い、とみていいだろう」(財務省幹部)
かくいう筆者も、小泉首相からこう言われたことがある。
「一般会計の3割も、4割も国債の利払いだけに消えていくという状況は、どう考えても異常。こうした状態は何が何でも是正しなくてはならない−」
著名な民間エコノミストが言う。
「補正といえども、内容によっては、マーケットは失望するかもしれない。その内容いかんで株価が下がることも十分あり得る」
今後、補正予算の規模をめぐって、政府と与党との大攻防が展開されるのは必至の情勢となってきたといえるだろう。