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竹中経済財政・金融相は5日の閣議に、02年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を提出した。00年10月を山に後退局面に入った景気は、輸出と生産の好転で今年1〜3月期に底入れしたが、企業の調整圧力は依然強く、デフレは「当面続く可能性が高い」と指摘。牽引(けんいん)役の米経済が停滞すれば、「景気は短期間で腰折れする可能性も否定できない」との懸念を強調している。
白書の副題は昨年度版を引き継いで「改革なくして成長なし2」。90年代の「失われた10年」は「構造改革に取り組むチャンスを逃した10年でもあった」として、公共事業中心の景気対策を乱発した過去の政策運営を批判的にとらえている。
さらに、日本経済が持続的な安定成長を達成するには、小泉内閣の構造改革の推進が不可欠とする昨年の問題意識を踏襲した。構造改革が完了した新経済システムとして、(1)市場型取引の基軸化(2)直接金融の拡大などを展望している。
外需主導で持ち直しつつある日本経済は、「民間需要の自律回復力が弱く、外需が与えるインパクトが相対的に大きくなっている」と、世界経済に左右されやすくなった点を指摘。主な要因として、バブル経済崩壊で始まった企業の過剰債務や銀行の不良債権問題など、資産と負債・資本の関係(バランスシート)調整が依然として終わっていないことを挙げた。
雇用・賃金調整が続く状況では、在庫調整が終了し生産が増えても設備投資や消費などの民需は増加しない。こうした回復力の弱さが、需給格差を拡大させてデフレを進ませるほか、「明るい展望が開けないから資産価格も下がり続ける」と指摘し、日本経済の現状を「景気の好循環の波及チャネルが寸断されている」と分析している。
景気の先行きについては、最大の懸念材料として米経済の動向を挙げた。減速感が強まり、為替が円高に向かう場合、自動車など輸出関連企業の収益が下押しされ、企業部門を基点とした景気回復が「腰折れ」するリスクを強調した。
昨年度の白書は日銀に対し「物価安定数値目標」(インフレターゲット)の導入を提案したが、今回は日銀の量的緩和政策の効果を分析。銀行貸し出しが減少していることから、「景気に対する効果は明確ではない」と結論付けたが、低リスクの円資金が対外投資に回ったことで、「円安の効果で実体経済にプラスの影響を及ぼした可能性はある」と指摘した。
(09:44)