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竹中平蔵金融・経済財政担当相の不良債権処理策が早くも敗北して、『玉砕の危機』を迎える。大手行を事実上解体し、企業に死刑宣告を下す劇薬プランが24日の国会審議で与野党の批判を浴び、銀行も反発、恫喝(どうかつ)で四面楚歌(そか)。市場や識者も「大混乱を招くだけで実現は困難」と懸念する。自己資本算入基準変更の1年延期に加え、「竹中=木村プラン」は大幅修正を余儀なくされる可能性が高い。
竹中バッシングは、24日の衆院予算委員会でも与野党を問わず集中した。公明党の北側一雄政調会長は「ルールを変えれば無用な混乱を招く。銀行を国有化すれば不良債権問題が解決するなどとんでもない」と厳しく批判。
保守党の井上喜一政調会長も「対策がドラスチックであればあるほど、手続きを踏み、関係者の理解を取り付けることが必要」と苦言を呈した。
ニューズウィーク誌のインタビューで、みずほグループなどメガバンクも処理対象の例外ではないとした竹中発言の趣旨を、海江田万里委員(民主)が追及した。
「『too big to fail』(大きすぎてつぶせない)という言葉を使ったのか」と追及すると、竹中氏は「英語の解釈の違いだ」と苦し紛れの答弁に終始した。
昨23日には、金融庁で行われた大手12行の経営トップと竹中氏の意見交換の場で、銀行側から強い不満や批判が相次いだ。
焦点は将来の収益に応じて戻る税金分を資本に算入する「繰り延べ税金資産」の扱い。
竹中案だと、米国並みに「算入額を中核的自己資本の10%に制限」または、「算入期間を現行5年から1年に短縮」とする厳しいものだ。
大手行の大半が健全性の目安の自己資本比率8%を割り込み、公的資金の注入、国有化される可能性が高い。
「やり方が過激すぎると、デフレスパイラルに陥りかねず、企業再生にもつながらない。目的が逆だ」(三木繁光・三菱東京フィナンシャル・グループ社長)
「急なルール変更は各方面に悪影響を与える。公的資金投入が自己目的化している。もし、そちらがやるというなら、幅広いクレジットクランチ(信用収縮・貸し渋り)の発生を覚悟しないといけない」(西川善文・三井住友銀行頭取)
「繰り延べ税金資産を制限するなら資産圧縮で30兆円、増資なら2兆円を実施せざるを得ない」(前田晃伸・みずほホールディングス社長)と一斉に反発の声が挙がった。
さらに、竹中プランでは、公的資金を注入した銀行の不良債権を「旧勘定」に分離する案も浮上している。過去に破綻(はたん)していない銀行には適用されたことのない手法で、事実上の「銀行破綻処理」ともいえる。
企業の債権を旧勘定に分類するということは、「生きている企業に死刑宣告するようなもの」(銀行系証券)で銀行にはとうてい受け入れられない。「区分を行う際に急激な貸し渋りや貸し剥(は)がしが発生する」ことも予想され、日本経済のクラッシュも予想される。デフレ不況が一段と進み、失業や倒産が激増するのはいうまでもない。
また、公的資金を年末までに注入を申請した場合は、トップの自主退任ですむが、来年1月以降に資本不足が発覚した場合は、取締役を含めた厳しい責任追及をするというのである。
こうした竹中案は、チームの初会合で相棒の日銀OBの木村剛氏が持ち込んだ「論点メモ」をほぼ丸のみしたもので、全体の議論はほとんど反映されていない。「竹中氏は最初から木村案ありきだったのでは」と疑念がわくのも当然だ。
UBSウォーバーグ証券チーフエコノミストの白川浩道氏は「急にルールを変えて、経営がおかしいから国有化するというのは問題だ。銀行の株主が国を訴えてもおかしくない」と批判する。
意気消沈気味の竹中氏は、銀行側に「マスコミには『一般の意見交換』と伝えてほしい」と口止めするにとどまった。
自民党内部からもプロジェクトチームの解散を求める声まで飛び出すなど逆風のなか、竹中氏は繰り延べ税金資産の見直し時期も修正し、計画から1年間遅らせ、再来年3月期からの導入を検討しているとみられる。
急を要するデフレ対策も、小泉純一郎首相は臨時国会での補正予算を否定し、形だけ取り繕い、新味に欠けるものしか出てきそうにない。
銀行や産業界、財務省、政治家が敵に回るなか、「学者大臣の机上の論理は正論でも、実体経済を見ていない。強行突破を図ったが、敗北が始まり、最後は玉砕しそう」(エコノミスト)。
野党4党は今夕、衆院予算委に竹中氏の問責決議案を提出する予定。与党は「反対すれば竹中批判ができなくなる」と採決には応じない方針。
竹中氏が今後も揺さぶられ、『骨太の方針』ならぬ『骨抜きの方針』とになりそうだ。