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竹中経済財政・金融担当相は２２日、金融分野緊急対応戦略プロジェクトチーム（ＰＴ）の不良債権処理加速案の中間報告発表を見送った。しかし、為替市場関係者によると、より“銀行改革的”色彩の強い竹中案が最終案に採用されるとの見方も根強く、日本の不良債権処理策にからむ円売りシナリオは維持されたままだという。ドル／円は、目先１２６円台までの円安を見込む声が聞かれているが、週末にも発表が見込まれているデフレ対策と合わせ、最終案を見極めてから、その後の円安余地を探りたいとの声が多い。
金融ＰＴの中間報告の発表を見送った竹中金融相は、午前の閣議後の会見で、最終報告について、「政府全体の強い姿勢を見てもらうために、総合的な姿を示したほうがいいという意見が（閣議後の閣僚懇談会で）出て、官房長官の判断でそうなった」、「一気に最終報告を出そうということになった」と述べるとともに、週明け以降に取りまとめる方向性を示した。
為替市場関係者からは、「一般的には、有効な不良債権処理加速策が打ち出され、それが実行に移されると、デフレ圧力が進むため円売りという見方と、政策に対する失望感から円売りという見方があり、（報告見送りが発表されたあとは）後者のシナリオになるかと思われた。ただ、まだ改革が進むかどうかわからない状況で、円安についての見方が定まっていない」（信託）との声が聞かれた。
また、「為替は、日本株の動き次第。株価の政策の効果を見るうえで、一番マーケットのセンチメントを反映し指標となる。不良債権処理加速の竹中案が将来にプラスということになれば、海外からの資金も集まってくることが予想される。今後１─３カ月の間に、株価がいったん下落したとしても、底入れにそれほど時間がかからないだろう。ただ、竹中案がダメで、政府があまりやる気がないということであれば、株価は、とめどなく下げるだろう。株がどんどん売られるという認識であれば、円安に動くしかないが、短期的には売られても中期的には持ち直しやすという見込みが出れば、話は変わる」（シティバンク、エヌ・エイ・国際金融本部・バイスプレジデントの稲村秀彦氏）との見方も示されている。
さらに、「首相の了解も得ており、金融ＰＴの不良債権処理加速策は、竹中案が最終案になることが有力なのではないか。今起きていることは、不良債権処理を加速させるための、“生みの苦しみ”のプロセスで、海外勢は国内勢よりも小泉首相に対して期待感を持って見ている。来週には日銀金融政策決定会合も控えているが、竹中案とともに一層の金融緩和策がとられれば、年内の円安余地として１３０円まで、加えて財政出動ということになれば１３５円まであり得ると見ている」（モルガン・スタンレー証券・エグゼクティブディレクター・梅本徹氏）との見方も示され、政府のデフレ対策の中身も円安余地を探るうえで大きな材料とされている。
市場参加者からは、現在のところ円売りのシナリオを変更する必要はなく、円安の流れは続いているとの声が多い。「実需筋は、１２５．００円で５本、１２５．５０円で１０本、１２６．８０円なら数本のドル売りというように、実績残しのためのようなドル売りしかしてこない。このため、ドル／円の上昇を阻む大きな壁にもなりにくい」（上位都銀）との声が聞かれているほか、「金融ＰＴの最終案発表の前に、１２６円の上値を試すことになると見ている」（シティバンクの稲村氏）との声もあり、一段の上昇を見込む声が複数聞かれている。
一方で、「シカゴ通貨先物でみると、投機筋の円売りポジションの残高があまり大きく増減しなくなってきている。円に対する関心が薄れている可能性もあるのでは」（前出の信託）、「９月初旬から続いている円売りも、９月下旬ぐらいからその勢いを低下させている。今週が円売りのピークと見ていたが、そろそろ円売り材料にも手アカがつきはじめていると思う」（上位都銀）との見方も示され、日本の不良債権処理に向けた総合的な政策の中身や株価の反応をにらみながら、今後の円安余地を探る展開になると見られている。
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