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自民党の青木幹雄参院幹事長は二十二日の参院本会議で、党の意向を軽視して経済財政政策などを進めているとして、小泉純一郎首相を強く批判した。党執行部の一員が代表質問で、党総裁の首相をここまで批判するのは「異常」。青木氏に代表される伝統的な自民党政治はこの日、金融庁による不良債権処理加速策公表を先送りさせる「力」も見せた。首相の改革型政治との「きしみ」がますます顕在化してきた。(梶雅一)
青木氏が二十九分にわたる演説で首相に訴えたかったのは、政策的にも党運営においても、かつての自民党政治に戻れ、ということに尽きる。
青木氏は、「構造改革なくして景気回復なし」との首相の経済財政運営の基本を面と向かって否定。国債発行三十兆円の枠を破って本年度補正予算の早期編成を求めた。
青木氏にとって、性急な改革は、景気を冷え込ませると同時に、自民党と公共事業減に悩む業界団体の関係を悪化させる一方、との思いがある。
明確な政策転換で党の「十八番」の公共事業投資による景気対策を打つ−。これが青木氏の主張であり「党の大多数の意見」(中堅)でもある。
また、青木氏がこの日の代表質問で、特に強く批判したのが、首相の政治手法だった。
青木氏は経済危機の中で、金融・経済財政担当相に民間の竹中平蔵氏を起用したり、経済政策を学者らの経済財政諮問会議で検討させている首相に不満がある。青木氏の頭にあるのは自民党政権の特徴だった政府・与党一体の政策づくりだ。
代表質問で、青木氏はこうした主張を淡々と首相に語りかけた。「君子ひょう変すべきだ」という発言には、君子はひょう変するものであり、ひょう変しても批判されないとの意味も含まれている。首相を、党サイドにたぐり寄せたいとの考えだろう。
一方の首相。答弁で「率直な意見をありがとうございます」と述べたが、青木氏の主張を採用するわけにはいかない。
首相は既に不良債権処理の公的資金投入、ペイオフ解禁の延期、補正予算編成などで政策転換に追い込まれている。この上、青木氏が求めるような公共事業中心の景気対策を認めれば、構造改革自体が瓦解しかねない。
政治手法についても「自民党をぶっこわす」といった、型破り風のやり方が国民の支持につながっていることを考えれば簡単に見直すわけにはいかない。「国民は、国会議員ばかりより(閣僚には)民間人を起用した方がいいという声が強いんじゃないですか」。首相は代表質問後、記者団に国民世論を味方につけていることを誇示した。
ただ、この日の不良債権処理策の公表先送りのように、首相と党側とのミゾが、政策の遅れなど具体的な形となって表れれば、党内を掌握できない首相にも厳しい目が注がれる。これをはねのけるには、早期に構造改革の成果を見せる以外にはない。