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「首相は完全な失政。竹中・木村を含めたコンビは、ハゲタカの代理人」−。北朝鮮による拉致被害者の一時帰国で国民の関心はやや薄れているが、日本経済はクラッシュ寸前である。小泉純一郎首相と竹中平蔵金融・経済財政担当相らが進めるハードランディングな不良債権処理は、企業倒産や失業者の激増を招く。夕刊フジでは、国を憂えて提言を続ける自民党の亀井静香前政調会長にインタビューを敢行し、末期的な経済の現状から北朝鮮問題、今後の政局を語ってもらった。
−−日経平均株価が一時８０００円台、自殺者３万人、戦後最悪水準の企業倒産数や完全失業率。まず、この現状をどう見るか。
「完全な失政だ。ただ、首相はウソを言ったわけではない。『２−３年はマイナス成長』『痛みを我慢して』といい、それを国民の９割が支持した。物事の本質を見ないで、表面上だけで判断するという『長野（県知事＝田中康夫氏）現象』が日本全国を覆っている。国民が冷静な判断をできなくなっている」
−−骨格が出た総合デフレ対策の評価は？
「あんなものは対策でも何でもない。デフレで需要と供給のバランスが崩れているのに、供給だけ切っても、需要が減退していれば経済は縮小を始める。需要を喚起する政策を取らなければ」
「１年半前から『緊急経済対策をやれ』と言い続けてきた。１４００兆円という国民の金融資産を有効に使い、内需拡大を進めようと訴えたが、見向きもされなかった」
−−昨春の自民党総裁選で、首相は亀井氏の提示した「緊急経済対策の実施」を含んだ政策協定に合意したはずだが。
「まったく実行しない。私も不良債権処理を訴えたが、これは景気を良くする中でやらなければ。景気が悪くなる中で不良債権処理を進めれば、不良債権はどんどん膨らむ。この１年間で２０兆円も増えている」
「銀行だって、返ってこない金を貸すわけがない。借りた方も返そうと思っても、経済悪化で返せなくなり、不良債権化していく。現状で不良債権の直接処理を進めれば、米国のハゲタカ・ファンドにエサをやる（＝日本企業を米国のファンドに安価で売却する）ようなもの」
−−小泉首相と、強引な不良債権処理を進める竹中担当相、日銀ＯＢの木村剛氏の劇薬コンビをどう見るか。
「ハゲタカの代理人。不良債権処理によってハゲタカはエサを得る。ホワイトハウスが『ビジネスチャンスを増やせ』と迫るのは、米国のハゲタカ・ファンドの要求。米国の経済外交は個別企業の利益を他国に要求するもの。日本国民の幸せなど考えない。竹中担当相が支持されるのは、米国に都合がいいからだ」
−−首相は分からない？ 確信犯か。
「分からないはずがない。すべての情報が集まっているのだから。それが構造改革だと思っているんだろ。『構造改革なくして景気回復なし』といったが、一体何の構造改革をしたのか。中小零細企業や大手企業がつぶれて、ハゲタカが乱舞しているだけ。これが首相の構造改革だ。その先に景気回復はない」
−−そういえば、前例のない不況で、亀井さんと懇意の企業経営者も自殺したとか？
「ヒドイ話で、銀行と保証会社が結託して前渡金を渡さなかったんだ。私は金融庁長官に『また、殺したな！』と電話してやったよ。中小零細企業の社長はみんな個人保証している。会社が行き詰まると財産すべてが奪われてしまう。こういう悲惨な現実を首相に教えてやったが、黙って聞いているだけだった」
−−冷血すぎる。見殺しか。
「（首相は）高殿から下を見て、『また、１匹虫が死んだな』としか思っていないんじゃないの。昨年暮れに青木建設が倒産したときも、私が『これは大変だ。すぐ経済対策を打ち出さないと』と言ったら、首相は『いや、構造改革がうまくいってる証拠だ』と言っていた。弱い企業が倒産することが構造改革だと思い込んでいる」
−−経済失政で下落傾向の支持率が、日朝外交で持ち直しているが。
「これも問題だ。北朝鮮は背筋の寒くなるような残虐非道なことをやった。判明している以外にも暗数（＝隠れた拉致事件）は山ほどある。全体を明らかにして、被害者への国家賠償、犯人の引き渡しなど終えなければ、日朝平壌宣言に署名すべきではなかった。金正日総書記の『遺憾だ』といった言葉ぐらいで許されるものではない」
−−急ぐなと？
「日本にとって、北朝鮮は経済的にも文化的にも必要な国ではないが、安全保障上の危険があるため国交を結んで友好関係を築くのは分かる。ただ、『危険な国家』のままで日本が経済援助すれば、さらに危険が増す可能性がある。大前提は、拉致事件の解決だ」
《インタビュー直後、北朝鮮が１９９４年の米朝核合意に違反して、核兵器開発計画を推進していたことが発覚した》
−−与党も短兵急の国交正常化に批判的か。
「多い、多い。でも（首相は）与党と国会議員の言うことは相手にしないというのだから…」
−−マスコミが真実を伝えていない？
「首相が高支持率のため、『批判記事を書くと読者や視聴者が離れてしまう』と恐れて迎合している。首相はそれに自信を持ち、間違った政策を進めている。長野県民のように国民はマスコミの影響を受ける。悪循環でグルグル回っている」
「国民はそれほど賢明ではない。切り捨てられている地方ですら、テレビや新聞を見て首相に拍手しているのだから。実際、自分たちの生活は締め付けられ、すぐ後ろは断崖（だんがい）絶壁で突き落とされそうなのに…。笛吹童子（ハメルンの笛吹き？）の怪しき笛の音に踊らされて、ネズミの大群が海に飛び込むような状況だ」
−−補正予算は来年１月の通常国会冒頭に先送りになったが。
「遅すぎる。何のために臨時国会をやるのか。私は以前、論文で真水で３．３兆円から３．５兆円。事業規模で３０兆円規模の補正予算編成と訴えたが、今なら、真水で５兆円、事業規模で５０兆円規模がなければ、経済は引き起きない」
「今すぐやるべきは、公的資金を投入し、中小零細企業への債務を３年ぐらい猶予する。それから、高利が取れる消費者金融だけに貸し付けている銀行をチェックする。このまま国民の税金を投入しても、サラ金かハゲタカに行くだけだ」
−−首相が自画自賛した内閣改造の評価は？
「与党は『経済政策を変えて、それをやり抜く人事を挙党態勢で組むべきだ』と訴えたが、首相は完全に無視して勝手にやった。与党内もあれでフッ切れたのでは」
−−「これではダメだ」と思っている与党議員はどのくらいか。
「圧倒的。９９％」
−−決起もあるか。
「政治家として『国民が間違っているから、国民が不幸になっても仕方ない』とは絶対に言ってはならない。間違っている国民を幸せにする義務、責任がある。幕末、庶民は『ええじゃないか』と浮かれていたが、武士階級が『それじゃイカン』と（明治維新を）やった。（与党内の熱い思いは）一瞬にして吹き上がるだろう」
−−年内にある？
「そんなことをオレが言って、記事にさせるわけには行かないよ」
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。