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小泉純一郎首相が19日、「国債発行30兆円枠」の維持断念に追い込まれたことで、自民党など与党から財政出動要求が強まるのは確実だ。しかし、首相は与党が求める公共事業の追加などには応じず、財政再建路線を堅持することで「公約違反」の批判をかわす方針。不良債権処理の加速で「金融非常時」を事実上宣言している中で「財政だけを特別視できるのか」という見方も強く、財政政策運営が金融行政転換と並んで臨時国会の大きな争点になりそうだ。
小泉首相は、9月30日の内閣改造で「一内閣一閣僚」という公約を事実上破棄、さらに金融行政でもペイオフ(預金の払戻保証額を元本1000万円とその利息とする措置)全面解除の2年延期を決めるなど、次々に政策転換を余儀なくされている。こうした中で、「30兆円枠」まで放棄すれば、小泉改革路線の全面転換と受け取られかねない情勢になっていた。
しかし、株価の急落などデフレ悪化を背景に、02年度の税収が当初予算の見込みより大幅に減少することが避けられない見通しになり、10月に入ってからは首相自身が「まだ決めるのは早い」と、方針転換の示唆ともとれる発言をしていた。
「30兆円枠」の維持断念により、焦点は国債の追加発行規模に移る。税収減を補うなどの最小限度にとどめて財政改革の土俵に踏みとどまるか、デフレ克服に向けて発行規模を拡大して積極財政に転じるか、が論議の中心になる。
政府筋は「首相は不良債権処理の加速に伴って必要になるセーフティーネット(安全網)拡充についてさえ、補正予算は当面必要ないと考えている」と指摘、景気下支えのための公共事業追加など、従来型の政策は念頭にまったくないという。
しかし、不良債権処理の加速で企業倒産、失業者の増加が懸念されている中で、「需要対策を講じなければ、日本経済は崩壊してしまう」(民間エコノミスト)などの懸念も高まっている。竹中平蔵金融・経済財政担当相が今月中にまとめる不良債権処理の加速策がハードランディング(強制着陸)路線になれば、財政出動も含めた政策総動員を求める声が与野党を通じて高まるのは必至で、小泉首相は厳しい判断を迫られる。