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18日の東京市場でドル/円は、約4カ月ぶりのドル高/円安水準となる125.38円まで上昇した。堅調な米国株式市場を背景にドル買いが優勢な地合いとなっているが、待ち構えている輸出筋のドル売りに加え、米国の実体経済が楽観視できないとの指摘もあり、劇的なドル高/円安は見込みにくく、127円程度が上限との見方もきかれる。
また、来週にも発表される金融分野緊急対応戦略プロジェクトチームによる中間報告を材料に、円安方向に向かうとの声も複数聞かれるが、現状ではハードランディングシナリオを描きにくく、緩やかな円安を見込む向きが多いという。
18日午前9時前の東京市場でドル/円は125.38円に上昇し、今年6月13日以来のドル高/円安水準をつけた。その途中の125.35円は、7月につけた年初来安値115.50円から、1月に付けた年初来高値135.20円の半値戻しとなる水準。
ただ、その後は、利食い売りや輸出筋によるドル売りが優勢となり、125円前半でのもみあいとなっている。
米国株式市場の上昇などを背景に底堅く推移するドル/円だが、ここからの大幅なドル高は見込みにくいという。
資産管理サービス信託銀行・資金為替部企画調査役の古厩秀明氏は、「海外勢が手持ちの円資産を処分する際の円売りはあっても、ドル/円の上昇を待ち構えていた実需のドル売りに対抗し、リスクをとってドル買い/円売りを仕掛ける向きは少ない」との見方を示し、今後、126.50円が上限ではないか、としている。
また、「125.50円、126.00円を抜けると、テクニカル的には上抜けした印象があるが、それを突破するには難しいのではないか」(外資系銀行)との見方もある。
ただ、信金中央金庫・市場営業部調査役の木村公太氏は、「今後、125円台の売りをこなせば、ドル高/円安の流れが出てきて、127円までの上昇をみてもおかしくない」としている。
日本は、来週に金融分野緊急対応戦略プロジェクトチームによる中間報告を控えている。市場では、中間報告発表後のドル/円は、「いずれにせよドル高/円安方向」(都銀)との声が少なくないが、中間報告自体が相場に大きな方向性を与えることは難しいのではないか、との指摘もある。
資産管理サービス信託銀行・古厩氏は、「中間報告の内容によっては、失望して円売り。もしくは、内容を好感して瞬間、円高方向に振れるものの、不良債権処理を加速させることでデフレ圧力がかかるうえに、米国から円安への暗黙の了解があるのではないかとの思惑が働く」と指摘。
同時に、待ち構えた実需筋のドル売りの存在を挙げ、劇的な円安進行という状況ではないとしている。
また、あおぞら銀行・金融市場部為替市場課主任調査役の高野修次氏は、「現時点では、取り組みが遅れている印象で、来週のプロジェクトチームによる中間報告は期待できない状況だ。内容によっては、海外勢による失望的な円売りも見込まれるが、(PTの中間報告を踏まえ30日の経済財政諮問会議に報告される総合デフレ対策など)日本政府の対策はデフレ圧力を緩和する方向性になると思われ、円売りを悲観することはない」との見方を示している。
さらに、UFJ銀行・資金証券為替部為替ディーリング班バイスプレジデントの佐原満氏は、「(きょう召集された)臨時国会では、銀行への公的資金注入を盛り込んだ新法は見送られることから、足元のデフレ圧力が遠のき、ハードランディングからソフトランディングへの転換と受け止められ、市場は急速な円安ではなく、穏やかな円安になるとみられる」と指摘している。
日本のデフレ対策以上に、市場では、引き続き、米国株式市場を中心とした世界の株式市場を材料とした相場展開には変化はないとの声が多い。
今週に入って7―9月期の企業決算が本格化した米国は、IBMIBM.N やシティグループC.N やゼネラル・モーターズGM.N など予想外の良い内容となり株式市場が上昇。
複数の市場関係者からは、「世界的に株が水準を戻しており、今まで続いていた海外勢の日本株売りが止まる可能性もあり、そう簡単に急激な円安にはならないのではないか」(東京三菱銀行・為替資金部チーフアナリストの深谷幸司氏)との見方もある。
一方、市場では、「米国株式市場を楽観視できない上に、イラク情勢など不安材料も残っており、ドルを一方的に買い続けられるかどうか懐疑的だ」(あおぞら銀・高野氏)との声や、「米国は、企業業績が予想よりもよかったが、全般的に経済指標は徐々に悪化するなど実体経済は楽観視できる状況ではなく、ドル売り材料は、引き続き残る」(信金中央金庫・木村氏)との指摘がある。