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(回答先: 「日本の銀行改革、新たな希望」・ハバード米CEA委員長寄稿 投稿者 Ddog 日時 2002 年 10 月 17 日 20:51:40)
ハバードCEA委員長の叱咤激励と理論的支えになることを意図した寄稿なのだろうが、不良債権処理がうまくいったと例として上げている諸国は、デフレ状況にはなかったのである。
(愚かで売国的な日銀も、韓国の例を示して、「竹中プロジェクト」の正当性を主張している)
金融機関の過剰不良債権は、国民経済の足を引っ張るとはいえ金融セクターに集中した問題である。
国民経済がデフレでなくインフレ基調であれば、不良債権の桎梏をとれば国民経済も名目ベースで拡大し、資産価格も上昇するから、管理通貨制を支えにして不良債権処理を相対的にスムーズに行うことができる。
しかし、デフレという経済事象は、金融セクターのみならず産業から証券市場までを巻き込んでいる災厄である。(通貨価値の上昇過程だから、金融セクターは、相対的に傷を受けにくいという有利な立場にある)
デフレ・スパイラルの怖さは、名目GDPの縮小がさらなる名目GDPの縮小を呼び込むことにある。(実質GDPの低下よりも名目GDPの縮小のほうが国民経済に与える打撃はずっと大きい)
通貨ベースの供給と需要は不即不離まさに一体のものである。通貨ベースの供給を減少させる処理を行えば、需要も減少することになる。
それはまさに名目GDPの減少であり、デフレをさらに深化させるものである。
デフレ状況下で行ったわけではない不良債権処理を例に出して、だから大丈夫、絶対にやるべきだという無責任な助言はご勘弁願いたい。
小泉政権も、外国の政府高官が語っている内容なのだから、十分に吟味しないまま真に受けることはない。
赤字財政支出の継続的増加を行えば、不良債権処理がもたらすデフレ圧力を低下させることができるが、それを実行すれば、国家財政のほうが先にバーストしかねない財政状況である。
(債務積み上げでその過程のデフレ圧力を緩和できたとしても、すぐに消費税10%などの国民全体に対する重課税政策が必要になるから、そこから再びデフレ・スパイラルに陥ることになる)
ハバード委員長のデフレ対策が、
>日本銀行は、特に銀行改革の直後のデフレを止めるために、より大胆な金融緩和を追
>求することが可能であり、またそうすべきである。
では、無能と呼ばざるを得ない。
「銀行改革の直後のデフレ」が問題なのではなく、98年から本格化したデフレ不況さえ解消できていないことが問題なのである。
政府・日銀も、インフレ目標は掲げないとしてもなんとかデフレから脱却したいと考えて、金融緩和政策をとり続けてきたのである。
それでも、デフレから脱却できなかったことを今一度きちんと論理的に見直さなければならない。