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【【過剰債務 家計も深刻】】
<所得減、ローンが圧迫>
家計の｢過剰債務問題」が深刻になっている。企業の賃金カットや人員削減で収入が減少、住宅ローンやクレジットカードの支払いに四苦八苦する例が増えている。
今年の個人破産の申請件数は前年比4割増のペースで、年間では初めて20万件を超す勢い。家計への債務の重圧は自動車などの消費にも陰を落としている。
<カード不払い40、50歳台も>
クレジットカード業界に異変が起きている。
会社員を主な顧客とする三井住友カードでは40-50代の貸し倒れが急増し始めた。
「中高年層は従来の給与水準をベースに家計を立ててきた。ボーナスなどの減額、早期退職などで住宅ローンの返済計画が狂っているようだ。」と広瀬常務は分析する。
主婦などの利用者が多い流通系のカード会社でも貸し倒れが急増中。（中略）
貸し倒れの増加に対応、カード各社は与信の絞込みにも乗り出した。「しばらくは会員向けの与信は慎重に対応したい。」と丸井の青井社長は言う。
<自己破産、今年20万件へ>
個人が裁判書に破産を申し立てた件数は今年1-8月で前年同期比38％増の13万5千件。このペースで続けば、今年の破産申請件数は22万件強に膨らむ計算だ。
背景には弁護士による働きかけで従来、申請から免責決定まで3ヶ月から半年かかった破産手続きが大幅に迅速化されたこともあるが、企業のリストラなどによる家計の苦境が大きい。
失業などで収入が一気に減り、急に支払いができなくなる「突然死」型の破産も増えている。（中略）
「最近は1回延滞した直後に突然破産するケースも多い」と言う。
<住宅ローン返済、所得の24％>
住宅ローンの焦げ付きも増えている。住宅ローン残高の4割を占める住宅金融公庫の場合、公庫住宅融資保証協会が債務を肩代わりする代位弁済が2001年度で過去最高水準に膨らんだ。
銀行でも80年代後半から90年代前半にかけて高額物件を購入した住宅ローン利用者の所得水準が低下「支払いが滞るケースが増えている」（大手地銀）
総務庁の家計調査によると、全国のサラリーマン世帯の可処分所得に占める住宅ローンの返済額の割合は2001年度で7.8％。現在の統計でさかのぼれる1970年以降で最高となった。
今年8月の単月では9.5％に上昇。その割合は8月は24.0％に上る。
長引く不況の中で成長を続けてきた消費者金融業界もここへきて息切れ感が強まっている。（中略）
<個人消費の下押しも>
家計の借り入れ負担の増加は、個人消費にも悪影響を及ぼし始めている。所得が減る中で、借入金の返済負担は重くなり、人々は消費にお金を振り向ける余裕が少なくなってきている。
第一生命経済研究所によると、サラリーマン世帯全体の消費水準は1996年度を100とした場合、2002年1-6月の平均は94.6。住宅ローン返済世帯に限ると90.6まで落ち込んでいる。「ローンが消費を圧迫する実態がはっきりしてきた」(中略）
デフレ下では値段は下がるが、借金の返済額は目減りしないので実質的な債務負担は重くなる。企業のリストラで可処分所得が減る一方で、過去に借りたローンは予定通りに返済しなければならない。
バブル後の超低金利を追い風に住宅ローンは急拡大したが、最近の所得減少でブームにもかげりがみえている。住宅ローンが落ち込めば、住宅購入に伴う家具や家電など耐久消費財の消費も落ち込むおそれがある。
家計の借り入れ余力の低下は自動車販売にも影響している。（中略）
せっかく成約しても、借り手の賃金カットでキャンセルになったり、ローンの審査が通らない例も急増中だ。（中略）
ボーナス時に返済額を多くしている世帯は、返済資金を確保するために、他の支出を切り詰めなければならなくなる。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。