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ハードランディング型の不良債権処理の加速を『錦の御旗』にスタートした竹中平蔵金融・経済財政担当相のプロジェクトチームだが、議論が迷走している。劇薬コンビの相棒で日銀OB、金融コンサルティング会社社長、木村剛氏を中心に米国流改革を進め、公的資金注入という青写真を描いたが、金融庁や銀行の激しい抵抗や株安で、軌道修正を余儀なくされる可能性も出てきた。
当初、今月中旬に中間報告をまとめるはずだった竹中氏は、16日に「週明けに論点整理として示したい」とトーンダウン。議論がまとまらない内情をうかがわせた。
プロジェクトチームの各委員は、(1)銀行の資産査定の厳格化(2)自己資本の充実(3)企業統治−の竹中3原則について合意したが、具体策では意見がかなり食い違う。
議論の基本的な構図は、「現在はすでに金融危機である」と米国流改革を主張する民間委員と、「危機ではない」と日本流を継続しようとする金融庁サイドの対立だ。
第1の原則、査定の厳格化では、民間委員が提案した「ディスカウント・キャッシュ・フロー」という評価方法が議論となっている。
将来の収益性から現在の債権の価値を算出するという米国方式を適用すると、銀行は不良債権処理に伴う引き当ての一部を1.5−2倍に積み増す必要も出てくる。金融庁側は日米の融資方法の違いを強調して反対している。
第2の原則、自己資本について「カサ上げだ」と指摘する木村氏と、金融庁の五味広文監督局長が激しく対立。俎上(そじょう)にのぼったのが、「繰り延べ税資産」の問題である。
銀行は不良債権処理で支払った税金が将来戻ってくると見込んで資本に算入しており、メガバンクでは自己資本の16−26%を占める。
民間委員から算入期間を現行の5年から米国並みの1年程度に短縮すべきとの意見が出たが、大手行の自己資本比率が軒並み、国際業務のBIS規制の8%割れするため、「銀行は健全」と主張してきた金融庁には認められない。民間委員からも懸念の声が上がる。
15日の会合には、全国銀行協会の寺西正司会長(UFJ銀頭取)ら金融機関代表が出席したが、第3の原則の経営責任論も絡むため、「現在でも不良債権処理は十分」と主張したようだ。
それぞれが「言いっ放し」に終始し、公的資金をどの銀行にどのような形で、いくら注入すればよいのか、道筋は描けない。むしろ日本経済を左右する重要問題が密室で協議されることに市場の不信感が募っている。
結局は所管大臣の竹中氏の判断が大きな力を持つことになりそうだが、与党幹部の反発や市場の逆風で「大手行や大手企業の一部を生贄(いけにえ)にして収束を図ろうとするのではないか」(金融筋)との観測も浮上する。
ハバード米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長ら米高官が、竹中氏を支持するのもなにやら不気味である。
不良債権処理の加速で一段と景気が悪化するという根本的な問題も残る。サラリーマンの悲鳴は、平蔵・木村の劇薬コンビと金融庁側のどちらの耳にも入らないのか。